トヨタ・カローラレビン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 07:12 UTC 版)
日本国外での名称
- 北米ではCOROLLA SPORT (カローラスポーツ、グレードはSR5とGT-Sの2種)の名称で販売されていたが、AE86・AE92は当時の北米の保安基準の関係でスプリンタートレノに似たデザインのリトラクタブルヘッドランプを使用していた。似たような例は日産・240SX(S13型)でも見られる。[注釈 3]
- オーストラリア、ニュージーランドでは、2015年までカローラハッチバックE18#系(日本名:カローラランクス及びアレックス→オーリス)のスポーティモデルに「レビン」がグレード名として設定されていた。また2006年まではカローラワゴン(ZZE122R)のスポーティーモデルにも設定されていた。
- 中国では11代目、および12代目の各カローラセダン(前者はE170L型、後者はE210L型)の広汽トヨタ仕様車の姉妹車種(トヨタ・レビン名義)として存在している。尤も、2代目モデル(NRE210L・ZWE211L)は後に日本市場に投入され、日本国内の道路・交通環境に最適化され更にナローボディ化された12代目カローラセダン(NRE210・ZWE211・ZRE212・ZWE214)にほぼ準拠したエクステリアの意匠が用いられている。
モータースポーツ
初代のTE27型が登場すると、セダン型のカローラを使用していたモータースポーツ参加者はレビンへ移行し、ツーリングカーレースでも上位を占める程の活躍をした。特に世界ラリー選手権(WRC)ではトヨタがワークス支援するアンダーソン・モータースポーツ(現TMG)がそれまでのセリカに代わって採用。1975年の1000湖ラリー(現在のラリー・フィンランド)でハンヌ・ミッコラのドライビングによりトヨタワークス初のWRC総合優勝を飾った。また日本国内ラリーでも活躍し、エントラントのほとんどがTE27型レビンで占められることもあった。なお1973年のアメリカでトヨタ車優勝を飾ったウォルター・ボイスのカローラは、レビンではなくカローラクーペ1600SRである[8]。
TE37型は大きく重くなったボディが不評で、引き続きTE27型を使用するユーザーも数多く、ラリー・サーキットともに目立った戦績は残していない。またTE71型にモデルチェンジしてからはラリーに使われることは少なくなり、ボディ剛性に優れるセダンGTや2ドアハードトップのGTがよく使用されていたが、サーキットでは空力的に優れていたためツーリングカーレースに参加し、好成績を収めていた。また、TE71型では18R-G型エンジンのターボ仕様を載せたスーパーシルエット(グループ5)仕様がトムスの手によって製作され参加していたが、ハンドリングに優れるも、パワーでは日産スーパーシルエット軍団[注釈 4]の前には歯が立たない状態だったが、バランスに優れた車体を生かして好成績を残している。
AE86型においては、開発当初からモータースポーツ参加を念頭に置いて開発されたと言う経緯がある[9]上に、TE71型からのキャリーオーバー部品が多数存在していたため、発売後に数週間でラリーへ実戦参加する車両があるなど、積極的な競技参加が目立った。またN1規定で行われるカローラ/スプリンター・ノーマルカップ(C/SNC)やN2規定で行われるカローラ/スプリンター・グランドカップ(C/SGC)などのワンメイクレースが開催されるようになったのもこの代からで、以降も続けられるが、C/SGCは車両製作費が高騰したため1985年迄の2年だけで終了した。またAE86型は欧州でも人気を集め、ETCC(ヨーロッパツーリングカー選手権)にも多数が参戦し、1983年のスパ・フランコルシャン24時間レースではクラス優勝を挙げている[10]。1986年、1987年にはイギリスツーリングカー選手権(BTCC)のドライバーズチャンピオンにも輝いた。
グループA車両によるヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)にも当初から参戦しており、日本で1985年から開催されたJTCの初戦で優勝を飾ることができたのも、ETCに参加していたことにより車両製作のノウハウが生かされたからである。各国内サーキットで開催されるアマチュアレースでも幅広く愛用されてきた。ホモロゲーションは1996年に切れているが、2010年代に突入した現在でも、OKAYAMAチャレンジカップや富士チャンピオンレース等で多数が活躍している等、長く愛されている稀有なモデルである。
FF化されたAE92型にモデルチェンジしてからは、JTCでシビック勢との争いが激化し、毎レースごとに互角の戦いを繰り広げていたものの、シビックがマイナーチェンジでVTECエンジンを搭載してからはパワーの面で大きく水をあけられ、苦戦が続いた。AE92型で追加されたスーパーチャージャー仕様はレギュレーションにより一つ上のクラスに編入されるため[注釈 5]逆に不利になり、レースでは使用されなかったが、国内ラリーでは軽量かつハイパワーな面が注目され、長く使用された。
AE101型にモデルチェンジされると、4A-GE型エンジンが20バルブ仕様に進化し、パワーではVTECと渡り合えたものの、今度はタイヤに泣かされることになる[注釈 6]。またレース仕様車にもスーパーストラットサスペンションを採用したことにより、足回りの熟成にも手間取ることとなってしまった。結局、JTCでは終盤、シビック優勢のままシリーズが終了してしまい、いま一つな結果で終わった。その後、全日本GT選手権(JGTC)2000年シリーズ第4戦に、3S-GTE型エンジンを搭載した車両が参戦した。
AE111型では、日本国内ラリーにおいて全日本からアマチュアレベルまで幅広く使用されてきたが、近年は出場クラスの排気量制限が上方に引き上げられたために、1.6Lクラスではパワー的に若干不利な点は否めない。レースではN1耐久(現 スーパー耐久)への参加が目立った程度で、C/SNCもAE111型デビューから2年ほどで終了してしまった。不景気による競技人口の減少と、スポーツカー離れが顕著になってきた時勢もあり、最後は寂しい幕引きとなった。
レビンの名称がカローラの姉妹車として残っている中国では、2019年からE210L型のレビンがCTCC(中国ツーリングカー選手権)に参戦している[11]。
車名の由来
カローラ(Corolla)とは、ラテン語で「花の冠」という意味を持つ[12]。
レビン(Levin)とは、英語で稲妻や電光の意味(ただし古語であり、一般的なのは『lightning』)。これは元々豊田英二が「英語ばかりじゃ面白くない」と『鷹』と『鷲』を考えてきたが、商標などの問題で没になった結果、代わりに登場したものであった[1]。
- ^ a b 佐々木紫郎 インタビュー
- ^ a b 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p84
- ^ “トヨタ、中国向け新型車「レビン」を出展【北京ショー2014】 【ニュース】”. webCG. 2022年12月30日閲覧。
- ^ “【広州モーターショー16】トヨタ レビン に「ターボ」…ダウンサイズの1.2リットル搭載”. レスポンス(Response.jp). 2022年12月30日閲覧。
- ^ CORPORATION, TOYOTA MOTOR. “TOYOTA、新型カローラ シリーズのセダンを中国 広州国際モーターショーで世界初披露 | トヨタ | グローバルニュースルーム”. トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト. 2022年12月30日閲覧。
- ^ a b “トヨタが新型「レビン」を初披露目! スポーティ顔のメッシュグリル採用! 第5世代ハイブリッド仕様を広州ショーで公開”. くるまのニュース(株式会社メディア・ヴァーグ). 2023年1月6日閲覧。
- ^ “トヨタ 新型「レビン」中国で発表に「日本は出ない!?」「レビンといえば2ドアでは?」反響集まる”. くるまのニュース(株式会社メディア・ヴァーグ) (2023年3月29日). 2023年3月31日閲覧。
- ^ トヨタ・カローラ1600レビン…WRC参戦マシンのベース車特集GAZOO.com 2018年2月14日
- ^ CG増刊「The 86」
- ^ カローラの哲学
- ^ CTCC第3戦:新型キアK3 2.0Tが最後尾から逆転勝利。トヨタも初の3位表彰台as-web 2019年6月26日
- ^ “車両系統図【豆知識】車名の由来”. トヨタ自動車株式会社. 2022年2月13日閲覧。
- 1 トヨタ・カローラレビンとは
- 2 トヨタ・カローラレビンの概要
- 3 初代(カローラシリーズ通算2代目)TE27型(1972年 - 1974年)
- 4 2代目前期(カローラシリーズ通算3代目前期)TE37型(1974年 - 1975年)
- 5 4代目(カローラシリーズ通算5代目)AE85/AE86型(1983年 - 1987年)
- 6 5代目(カローラシリーズ通算6代目)AE91/AE92型(1987年-1991年)
- 7 6代目(カローラシリーズ通算7代目)AE100/AE101型(1991年-1995年)
- 8 7代目(カローラシリーズ通算8代目)AE110/AE111型(1995年 - 2000年)
- 9 中国市場専売「レビン」
- 10 日本国外での名称
- 11 注釈
固有名詞の分類
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