タンゴ型潜水艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 03:19 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動タンゴ型潜水艦 | |
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北大西洋を航行するタンゴ型潜水艦(1993年6月撮影) | |
基本情報 | |
艦種 | 通常動力型潜水艦 |
命名基準 |
三桁の番号 ソ連各地のコムソモール(一部の艦) ユーリー2世(B-380) |
建造所 | ゴーリキー(現・ニジニ・ノヴゴロド)、クラスノエ・ソルモヴォ工場[1] |
運用者 |
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建造期間 | 1972年 – 1982年 |
就役期間 | 1973年 – 2016年 |
同型艦 | 18隻 |
建造数 | 18隻 |
前級 | フォックストロット型潜水艦 |
次級 | キロ型潜水艦 |
要目 | |
排水量 | 2,770トンt[2] |
水中排水量 | 3,600t[2] |
長さ | 90.2m[2] |
幅 | 8.6m[2] |
高さ | 12.2m |
吃水 | 5.7m[2] |
高さ | 12.2m |
主機 |
2D42Mディーゼルエンジン×3基 PG101電動機×2基 PG102電動機×1基 PG104電動機(140馬力)×1基 |
推進器 | 3軸[2] |
出力 |
水上:5,700 馬力 (4,250 kW) 水中:5,400馬力(最大) |
電力 | 4.6MW |
電源 | 60SU蓄電池×4基(112セル) |
速力 |
水上:13 ノット (24 km/h)[2] 水中:16 ノット (30 km/h)[2] シュノーケル航行:7.0ノット |
航続距離 |
水上:1万4,000海里/7ノット[2] 水中:450海里/2.5ノット[2] |
燃料 | 軽油420t |
航海日数 | 80日 |
潜航深度 |
通常:240m[2] 最大:300m |
乗員 | 78名[2](うち士官・政治将校17人) |
兵装 |
533mm魚雷発射管×6基 (魚雷×24本または機雷×44個) |
FCS | 火器管制装置「レニングラード」 |
レーダー |
MCI-25水上捜索レーダー(NATOコードネーム「スヌープ・トレイ」)[1] 電波探信儀「カスケード」 |
ソナー | 音波探信儀「ルビコン」 |
開発
本型はフォックストロット型潜水艦の改良型であり、ソ連第3世代潜水艦に分類される通常動力型潜水艦である。
設計はルビーン海洋工学中央設計局で行われ、ゾシマ・アレクサンドロヴィッチ・デリビンが主任設計を担当し、海軍からは二等艦長のV・A・マルシェフとI・A・コツビンがオブサーバーとして参加した[2]。1971年より、ゴーリキー(現・ニジニ・ノヴゴロド)のクラスノエ・ソルモヴォ工場で建造が始まった。
設計
フォックストロット型潜水艦からの改良点として、航法装置や火器管制装置などの自動化と電子化による操作員の負担減少、寝台数・個室数増加による居住性向上、船体殻絶縁皮膜加工による静粛性向上、蓄電池・通信装置・電子機器の高性能化、魚雷搭載量の増加による攻撃力の強化[2]などが挙げられる。
艦体
船殻は6つの隔壁で区切られ、艦首から魚雷発射管室、前部蓄電池室、発令所、後部蓄電池室、機関室、電動機室、乗組員室となっていた[3]。蓄電池室が2ヶ所になったことで、潜航時間はフォックストロット型潜水艦より長くなった[1]。脱出ハッチは第1・3・7区画にあった。艦体の大型化により居住性は大きく向上し、艦長と士官の個別のベッドが乗組員室に設置されたほか、水兵のベッドも全員分が用意された[2]。
静粛化の向上のために駆動系を簡素化したほか、艦体には浮台(ラフト)構造や無反響タイルが本格的に導入され、水中雑音を大幅に軽減した。これらの設計により、タンゴ型潜水艦はソ連で最も静粛性の優れた潜水艦と評価されていた[2]。
機関
推進軸は3軸で、水上航行およびシュノーケル航行は2D42Mディーゼルエンジン(1,900馬力)3基で、水中航行にはPG101電動機(1,350馬力)2基と高速航行用のPG102電動機(2,7000馬力)2基、低速航行用のPG104電動機(140馬力)1基で推進した[2]。蓄電池は、60SU蓄電池を112セル4基搭載した。
兵装
兵装として、533mm魚雷発射管6門を艦首に集中配置した。冷戦当時の西側諸国では、艦尾にも魚雷発射管4門を有するとされていたが[1]、本型はソ連の通常動力潜水艦として初めて艦尾の魚雷発射管を有しない潜水艦となった。魚雷発射管から発射する兵装は、魚雷を24本または機雷を44個したが、居住性を犠牲にすればさらに魚雷12本または機雷24個を搭載でき、従来の潜水艦より搭載量が20%増加した[2]。
C4Iシステム
タンゴ型潜水艦は、ソ連海軍の通常動力型潜水艦として初めて、ソナーと戦闘処理装置を結合したC4Iシステムが搭載された。魚雷への目標情報の入力や雷撃手順が自動化されたほか、戦闘時の操艦を補助した[2]。
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- 1 タンゴ型潜水艦とは
- 2 タンゴ型潜水艦の概要
- 3 運用
- 4 出典・参照元
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