サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/13 19:33 UTC 版)
サン・アントニオ級 ドック型輸送揚陸艦 | |
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基本情報 | |
艦種 | ドック型輸送揚陸艦(LPD) |
命名基準 | アメリカ合衆国の都市 |
建造所 |
エイボンデール造船所 インガルス造船所 |
運用者 | アメリカ海軍 |
建造期間 | 2000年-現在(フライトI) |
就役期間 | 2006年-就役中 |
計画数 | 26隻 |
建造数 | 15隻 |
前級 |
トレントン級 ニューポート級 チャールストン級 |
要目 | |
軽荷排水量 | 19,208 t |
満載排水量 | 25,883 t |
全長 | 208.5 m |
最大幅 | 31.9 m |
吃水 | 7.0 m |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | コルト-ピルスティク16PC2-5 STCディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | 可変ピッチ・プロペラ×2軸 |
出力 | 41,600bhp |
最大速力 | 22ノット |
航続距離 | 8,000海里(18kt巡航時) |
乗員 |
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兵装 |
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搭載機 | MV-22B×2機 |
C4ISTAR | |
レーダー |
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電子戦・ 対抗手段 |
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[1] |
来歴
1980年代より、アメリカ海軍は海兵隊と共同で、揚陸艦の近代化・輸送力向上のための研究に着手していた。この結果、従来は様々な種類の艦を寄せ集めて適宜編成されていた両用即応群(ARG)の構成艦の均一化が計画された。この新編成においては、強襲揚陸艦(LHAまたはLHD)とドック型輸送揚陸艦(LPD)、ドック型揚陸艦(LSD)1隻ずつで構成されることとされていた。当時、トーマストン級およびアンカレッジ級LSDの老朽化が進んでいたことから、まずこれらを代替するホイッドビー・アイランド級およびハーパーズ・フェリー級12隻が建造された。続いてLPDとして建造されたのが本級である[2]。
1988年より、まず種々の選択肢の検討による暫定要求仕様の準備が着手された。1989年から1992年にかけて可能性研究、1993年から1994年にかけて予備設計、1994年から1996年にかけて契約設計が行われた。ネームシップの建造は1996年度計画で認可され、1996年12月、エイボンデール造船所が建造契約を落札したものの、入札で敗れたインガルス造船所の抗議のために、実際の建造契約は1997年4月まで遅延した[2]。
設計
設計にあたっては、アメリカ海軍の揚陸艦として初めてステルス性への配慮が導入された。特にマストについては周囲が八角柱に近い構造のパネルにより覆われた先進型閉囲マスト/センサーとなっており、外部からのレーダー波を反射し、自艦の電波は透過するようになっている。前檣の頂部ドームにはAN/SPQ-9B低空警戒レーダー、本体内にはAN/SPS-73(V)13対水上捜索レーダーが、また後檣にはAN/SPS-48E 3次元レーダーが装備される[2]。これらの配慮により、レーダー反射断面積(RCS)はオースティン級の1パーセント程度にまで低減されている[1]。
居住区は、士官用のものは上部構造物に、海兵隊員用を含む大部分は主船体内の車両甲板の直前に設けられている。就寝時・起床時兼用寝台(Sit-up berth)の採用や艦内広域ネットワーク(SWAN)による電子メール送受信など、艦内生活の質的向上にも意が払われた[2]。
主機関はホイッドビー・アイランド級およびハーパーズ・フェリー級と基本的に同構成で、ターボチャージャーを備えたコルト-ピルスティク16PC2-5 STC中速ディーゼルエンジン[1][3]4基によって構成されており、可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動するCODAD方式である。また煙突は左右非対称の配置となっており、右前部と左中部にある。機械室と補機室は横隔壁によって複数区画に分割されており、被害極限による生残性向上が考慮されている[2]。
- ^ a b c d e f g h i Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 866-867. ISBN 978-1591149545
- ^ a b c d e 吉原栄一「ドック型輸送揚陸艦「サン・アントニオ」級 (特集 アメリカ海軍の新型艦艇) -- (アメリカ海軍の新型艦艇)」『世界の艦船』第623号、海人社、2004年3月、98-101頁、NAID 40006087510。
- ^ a b c 「アメリカ揚陸艦史」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、1-135頁、NAID 40015212119。
- ^ 阿部安雄「アメリカ揚陸艦の歩み」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、137-143頁、NAID 40015212119。
- 1 サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦とは
- 2 サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦の概要
- 3 能力
- 4 同型艦
- 5 登場作品
固有名詞の分類
アメリカ合衆国の揚陸艦 |
ニューポート級戦車揚陸艦 ブルー・リッジ級揚陸指揮艦 アシュランド級ドック型揚陸艦 チャールズ・ローレンス級高速輸送艦 サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦 |
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