サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦 能力

サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/13 19:33 UTC 版)

能力

輸送揚陸機能

本級は、オースティン級クリーブランド級およびトレントン級を含む)のみならず、チャールストン級貨物揚陸艦やニューポート級戦車揚陸艦をも代替するものとして設計された[4]

貨物揚陸艦のようなクレーンによる重量物の舷側揚陸能力、戦車揚陸艦のような擱座着岸能力、従来のドック型輸送揚陸艦のような揚陸指揮艦能力には欠けているが、これら3艦種とLSDを合わせたほどの輸送揚陸能力を備えている[3]1990年代の揚陸艦はいずれも車両搭載能力が不足していたことから、本級では3層・計2,323 m2に及ぶ車両甲板が確保されている。物資搭載能力は963 m3であり、また弾薬についてはパレット搭載分708 m3、弾薬庫1,007 m3に収容できる。このほか、ジェット燃料(JP-5)1,196 m3、ガソリン38 m3も搭載できる。また逆浸透膜による海水淡水化装置5基を備えており、それぞれ毎日45,000リットルの真水製造能力を備えている[1]

病院船機能として、手術室2室と病床24床が設けられており、また必要であれば更に病床を100床に拡張することができる[1]

LPDはもともと強襲揚陸艦に近い性格を備えていた[3]ことから、本級も優れた航空運用能力を備えている。上部構造物の後端はハンガーとされており、MV-22Bティルトローターであれば2機、CH-46E輸送ヘリコプターであれば4機を収容できるほか、AV-8B垂直離着陸機の支援も可能である。また艦尾甲板はヘリコプター甲板とされており、発着スポット2個が設定されている。またヘリコプター甲板直下のウェルドックはオースティン級と同程度の面積であり、LCACであれば2隻、LCUであれば1隻、AAV7であれば14両を収容できる[1]

個艦防御機能

アメリカ海軍では、全てのヴィークルが協力しあって交戦することを構想しており、このために本級にもかなり強力な戦闘指揮システムが導入されている。戦術情報処理装置としてACDSブロック1が搭載されており、これを含めた統合システムとして艦艇自衛システム(SSDS)Mk.2が構築されている。統合戦術情報伝達システム(JTIDS)が搭載されているほか、共同交戦能力(CEC)も導入されている[1]

各級指揮官の情報共有・戦術状況評価のためのC4IシステムとしてAN/USQ-119C(V)27 JMCISが装備されているほか、水陸両用作戦の指揮・統制のため、AN/KSQ-1強襲揚陸指揮システム(AADS)も装備されている[1]

武装として、近距離の空中目標に対してはRAM近接防空ミサイルの21連装発射機2基、水上目標に対してはMk.46 30mm機関砲が搭載されている。当初計画では、上部構造物直前にESSM個艦防空ミサイルのためのMk.41 VLS16セルの搭載が予定されていたが、まず当初3隻分から、その後最終的に全艦で削除された。しかし後日装備可能なように容積・重量の余地は確保されている[1]


  1. ^ a b c d e f g h i Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 866-867. ISBN 978-1591149545 
  2. ^ a b c d e 吉原栄一「ドック型輸送揚陸艦「サン・アントニオ」級 (特集 アメリカ海軍の新型艦艇) -- (アメリカ海軍の新型艦艇)」『世界の艦船』第623号、海人社、2004年3月、98-101頁、NAID 40006087510 
  3. ^ a b c 「アメリカ揚陸艦史」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、1-135頁、NAID 40015212119 
  4. ^ 阿部安雄「アメリカ揚陸艦の歩み」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、137-143頁、NAID 40015212119 






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