サクラ大戦シリーズ 概要

サクラ大戦シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/03 16:40 UTC 版)

概要

本シリーズはレッド・エンタテインメント(2001年まではレッドカンパニー)のボードゲームの企画を前身としている。『桜』と呼ばれていたその企画は形になる事はなかったが、セガの入交昭一郎がレッドの広井王子にキャラクターゲームの製作を依頼した際に、『サクラ大戦』と呼ばれるセガサターン用のアドベンチャーゲームとして生まれ変わった。『桜』の企画立案者だった金子良馬と森田直樹は世界観設定、レッド全体としてサブキャラクターやメカニックなどのデザイン全般でシリーズに参加している[2][注 1]

正式なゲームジャンルは「ドラマチックアドベンチャー」。現実世界の大正時代の風俗を感じさせるスチームパンクな雰囲気の「太正」時代を舞台に、主人公(プレイヤー)が特殊部隊「帝国華撃団・花組」を率いて悪しき魔物と戦い帝都東京の平和を守る。アドベンチャーゲームパートでとった行動による主人公への好感度の変化が、戦略シミュレーションゲームパートでの花組隊員の戦闘力に影響するシステム。基本的には恋愛シミュレーションゲームだが、戦略シミュレーションゲームでもあり、演出面ではスチームパンク、大正浪漫戦隊ヒーローもの時代劇の構成(勧善懲悪殺陣など)、歌謡曲、演劇、ロボット、オカルトと幅広い要素を融合させた意欲作で、更に高品質なアニメなども先進的に取り入れている。また田中公平が手掛ける音楽も非常に高い評価を受けている。関連楽曲数は、ボーカル曲に限っても300曲を越える。

アニメ(OVAシリーズ5本、TVシリーズ1本、映画1本)の他、花組の隊員たちが都市の魔を鎮めるために舞台女優をやっているという設定を利用した声優自身の出演による舞台歌謡ショウ」を始めライブ、ミュージカル、ディナーショウ、レビュウショウや、ラジオ番組などもある。

以上のようにゲームから始まり、ミュージカル、アニメ(OVA、テレビ、劇場映画)、ラジオドラマドラマCD小説漫画パチンコパチスロと、活動するメディアを拡大する大ヒットシリーズとなった。また、セガサターンやドリームキャストの売上げに影響を与えた。

ドリームキャストの製造中止並びにセガの家庭用ゲーム機撤退に伴い、『サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜』を緊急製作し、それまでセガのゲーム機で展開されてきた大神一郎を主人公としたシリーズは完結した。その後、PlayStation 2(以下、PS2)にて大神一郎シリーズの一部作品の移植を経て、新主人公である大河新次郎を主人公とする『サクラ大戦V』が発売された。しかし、それ以降はナンバリングタイトルの製作が当面の間停止となった。

当初、本シリーズは2008年の舞台『サクラ大戦・紐育レビュウショウ~歌う♪大紐育♪3~ラストショウ』[5]をもって、全てのコンテンツを終了することが予定されていた。しかし、千秋楽の終演後に多数の観客が『サクラ大戦』シリーズの継続を訴えて会場から帰ろうとしないという異常事態が発生し、これに困惑した田中公平が観客らに対して「みんなこのままでは帰れないよね、心配しないでください。私が何とかしますから、今日はこれで帰ってください。」と発言し、観客らを説得させた。その直後、田中は打ち上げ会場でコンテンツの延長を直訴するなど、関係者による復活に向けた活動が始まった[6]

その後、舞台はライブなどを経て2013年にショウとして再開されるなど一定の成果を上げ[6][7]、女性向けコンテンツ『サクラ大戦奏組』という新たな試みも行われたが[注 2]、セガ社内で毎年のように提出されていた新作の企画は不採用という結果が続いていた。しかし、セガフェス2016にておこなわれた総選挙において『サクラ大戦』が「作品部門」と「復活期待部門」で1位を獲得したことで風向きが変わり[10]2018年に開催されたセガフェス2018にて、最新のプラットフォームでリッチなコンテンツとして、太正29年の帝都・東京を舞台とする完全新作ゲームの製作が発表[11]。翌2019年のセガフェス2019にて、PlayStation 4(以下、PS4)用ソフト『新サクラ大戦』のリリースを正式発表した[12]。タイトルに番号が割り振られていないが、公式サイトではナンバリングタイトルとして『V』の後に位置付けられている[13]

週刊ファミ通2020年6月25日号(2020年6月11日発売)のセガ60周年特集企画で、セガファン実態調査というアンケートが行われ、「もっとも思い入れが深いセガハードのゲームタイトルは?」という質問の1位が『サクラ大戦』であった[14]


注釈

  1. ^ このことから、シリーズの著作権表示はSEGAとREDの連名となっていたが[3]、2017年からはSEGA単独となっている[4]
  2. ^ ただし、『花とゆめ』で連載された漫画は単行本全4巻[8]、舞台は2012年と2013年の2公演のみという結果に終わっており[9]、田中公平は『サクラ大戦』復活に尽力した個人あるいは活動の具体例として「横山智佐」「島津冴子」「松谷彼哉」「麻生かほ里」「ダンディ団」の他に『奏組』の名前を挙げ、「あまり面倒を見られなくて申し訳なかった」と発言している[6]
  3. ^ 設定上では、鈴野十浪(ジュール・ヴェルヌのもじり)という作家の小説『サクラ』を広井が実家の蔵から見つけ、それを原案にしたということになっている[21]
  4. ^ メインキャラクターと一部のサブキャラクターのみ。それ以外の大半のキャラクター原案はレッドが担当している[22]
  5. ^ a b 『3』から永田に代わる形で参加。
  6. ^ のちに声優として活動をはじめる千葉紗子が、主役の野々村春香役で出演。
  7. ^ プロジェクト発表当時のゲーム雑誌では、「映画好きで有名な広井王子が同作から命名に影響を受けたと想像される」と紹介された[59]
  8. ^ プロジェクトの発表会場では「与謝野鉄幹の詩から」と紹介された[61]

出典

  1. ^ サクラ大戦”. 株式会社レッド・エンタテインメント. 2019年4月12日閲覧。
  2. ^ サクラ大戦クロニクル 2003, pp. 316, 343–345.
  3. ^ サクラ大戦ドットコム”. サクラ大戦.com (2016年11月28日). 2016年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月7日閲覧。
  4. ^ サクラ大戦ドットコム”. サクラ大戦.com (2017年3月18日). 2017年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月7日閲覧。
  5. ^ サクラ大戦・紐育レビュウショウ~歌う♪大紐育♪3~ラストショウ”. サクラ大戦.com. 2019年9月17日閲覧。
  6. ^ a b c あの時から、、、新サクラ大戦へ”. 田中公平のブログ (2019年9月16日). 2019年9月17日閲覧。
  7. ^ サクラ大戦 紐育星組ショウ2013 ~ワイルド・ウエスト・希望~”. サクラ大戦.com. 2019年9月17日閲覧。
  8. ^ サクラ大戦奏組 グッズ情報:書籍”. サクラ大戦.com. 2019年9月24日閲覧。
  9. ^ サクラ大戦奏組 舞台”. サクラ大戦.com. 2019年9月24日閲覧。
  10. ^ 『新サクラ大戦』最速スタッフインタビュー! ゲームシステムは? 恋愛要素は? などなど気になる情報が続々明らかに”. ファミ通.com (2019年3月30日). 2019年9月17日閲覧。
  11. ^ 『サクラ大戦』新作が始動。DNAを受け継いだ完全新作で舞台は太正二十九年の帝都・東京”. 電撃オンライン (2018年4月14日). 2018年4月16日閲覧。
  12. ^ 『新サクラ大戦』はPS4で今冬発売予定。メインキャラは久保帯人さん、ストーリーはイシイジロウさんが担当”. 電撃オンライン (2019年3月30日). 2019年3月30日閲覧。
  13. ^ ABOUT サクラ大戦とは?”. サクラ大戦.com. 2019年4月12日閲覧。
  14. ^ 週刊ファミ通2020年6月25日号 P.117
  15. ^ レッド・エンタテインメント、GREE「サクラ大戦」本日配信。歴代キャラクター総出演。名場面や舞台公演も再現されたソーシャルカードゲーム”. GAME Watch (2012年9月28日). 2012年9月30日閲覧。
  16. ^ 「サクラ大戦 ~オールスターコレクション~」,entag!でのサービスが開始に”. 4Gamer.net (2013年7月30日). 2013年11月2日閲覧。
  17. ^ さくらソフトとレッド、『サクラ大戦~百花繚乱夢物語~』のサービスを3月28日をもって終了”. Social Game Info (2016年2月2日). 2019年4月12日閲覧。
  18. ^ 『サクラ大戦』シリーズ新作アプリ『サクラ革命』発表! ジャンルはRPG、時代は太正100年、霊子ドレスを身に纏い日本を奪還する”. ファミ通.COM (2020年9月2日). 2020年9月2日閲覧。
  19. ^ 金子良馬 近況&経歴”. 2021年4月28日閲覧。
  20. ^ 『サクラ大戦』シリーズの世界設定を務めたレッド・エンタテインメントの森田直樹氏が贈る新作アドベンチャーゲーム『俺達の世界わ終っている。』公式サイトがオープン”. ファミ通.com (2017年5月26日). 2021年4月28日閲覧。
  21. ^ 『サクラ大戦 前夜』第1巻、22-23頁
  22. ^ 松原秀典(@HideMatsubara)の2019年12月18日のツイート2021年4月28日閲覧。
  23. ^ サクラ大戦 前夜 1”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  24. ^ サクラ大戦 前夜 2”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  25. ^ サクラ大戦 前夜 3”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  26. ^ サクラ大戦 1”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  27. ^ サクラ大戦 2”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  28. ^ サクラ大戦 3”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  29. ^ サクラ大戦 4”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  30. ^ サクラ大戦 巴里前夜 1”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  31. ^ サクラ大戦 巴里前夜 2”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  32. ^ サクラ大戦 〜轟華絢爛〜”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  33. ^ サクラ大戦 太正恋歌 1”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  34. ^ サクラ大戦 太正恋歌 2”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  35. ^ サクラ大戦 活動写真”. KADOKAWA. 2021年6月25日閲覧。
  36. ^ 新サクラ大戦 the Novel 〜緋桜のころ〜”. 集英社. 2021年6月25日閲覧。
  37. ^ サクラ大戦ショウ劇場 1”. 講談社. 2021年6月25日閲覧。
  38. ^ サクラ大戦ショウ劇場 2”. 講談社. 2021年6月25日閲覧。
  39. ^ サクラ大戦ショウ劇場 3”. 講談社. 2021年6月25日閲覧。
  40. ^ サクラ大戦ショウ劇場 4”. 講談社. 2021年6月25日閲覧。
  41. ^ 「サクラ大戦」女性向け新作「奏組」が花とゆめで連載開始”. マイナビニュース (2011年11月19日). 2011年11月20日閲覧。
  42. ^ 連載漫画『新サクラ大戦 the Comic』(削除済)”. 週刊ヤングジャンプ公式サイト. 2023年10月28日閲覧。
  43. ^ 新サクラ大戦 the Comic 1”. 集英社. 2021年6月25日閲覧。
  44. ^ 新サクラ大戦 the Comic 2”. 集英社. 2021年6月25日閲覧。
  45. ^ 新サクラ大戦 the Comic 3”. 集英社. 2021年6月25日閲覧。
  46. ^ a b 「有楽町帝撃通信局」思い出ページ”. 「大正浪漫街道」 (1998年1月29日). 1998年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月12日閲覧。
  47. ^ NHK-BS「日曜シアター“山川静夫の新・華麗なる招待席”」、2007年3月放送
  48. ^ “『サクラ大戦』大正 浪漫街道”. (1997年5月28日). https://web.archive.org/web/19970528020156/http://www.red-jp.com/sakura/index.htm 2021年10月2日閲覧。 
  49. ^ ““サクラ大戦 歌謡ショウ”が約10年ぶりに復活! ダンディー商会主催公演は、男だらけの華やかさ!?”. ファミ通.com. (2017年7月7日). https://www.famitsu.com/news/201707/07137140.html 2017年12月15日閲覧。 
  50. ^ 「サクラ大戦歌謡ショウより~『花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」開催決定!”. サクラ大戦.com. 2017年5月17日閲覧。
  51. ^ 「サクラ大戦歌謡ショウより~『続・花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」開催決定!”. サクラ大戦.com. 2017年12月15日閲覧。
  52. ^ 「サクラ大戦歌謡ショウより~『続々・花咲く男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」開催決定!”. サクラ大戦.com. 2018年6月29日閲覧。
  53. ^ 「サクラ大戦歌謡ショウより~『夢見る男たち~地獄変~』大帝国劇場支店赤坂草月支部劇場」開催決定!”. サクラ大戦.com. 2019年5月10日閲覧。
  54. ^ 「サクラ大戦歌謡ショウより~『初夢の男たち』大帝国劇場支店花やしき支部劇場」開催決定!”. サクラ大戦.com. 2019年10月21日閲覧。
  55. ^ 「ミュージカルサクラ大戦~花咲く乙女~ オリジナル・サウンドトラック」 メディアファクトリー、1998年7月8日発売、TGCS-515
  56. ^ 週刊ファミ通 No.582. 株式会社アスキー. (2000年2月11日). p. 14 
  57. ^ ““開催迫る“サクラ大戦歌謡ショウより「続・花咲く男たち」”を支えるダンディ商会とは?”. ファミ通.com. (2018年1月26日). https://www.famitsu.com/news/201801/26150102.html 2019年5月28日閲覧。 
  58. ^ セガサターンマガジン 1997年7月18日号 Vol.24』、ソフトバンク出版事業部、1997年7月18日、28頁。 
  59. ^ 『ファミ通ドリームキャスト 1999年12月号』、セガ、1999年12月1日、84頁。 
  60. ^ ドリマガ 2001年7月27日号 Vol.5』、ソフトバンクパブリッシング、2001年7月27日、11頁。 
  61. ^ 2002年春、ドリームキャスト最後の超大作「サクラ大戦4」遂に映画化! 12月22日「サクラ大戦 活動写真」劇場公開”. GAME Watch (2001年6月25日). 2022年6月13日閲覧。
  62. ^ インタビュー『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』広井王子氏”. 電撃オンライン. 2022年6月13日閲覧。
  63. ^ “「東京ゲームショウ2002」閉幕。来場者数は約13万人 各種イベントレポートをお届け……”. (2002年9月22日). https://game.watch.impress.co.jp/docs/20020922/event.htm 2022年6月13日閲覧。 
  64. ^ 「サクラ大戦」裏話を広井氏が大暴露!?――「太正浪漫堂&Sakura Cafe」閉店イベント”. ねとらぼ (2008年3月10日). 2022年6月13日閲覧。
  65. ^ 『サクラ大戦』×『ラブライブ!サンシャイン!!』コラボキャンペーン開催決定!ここだけの限定オリジナルグッズがもらえる”. インサイド (2018年10月17日). 2019年4月12日閲覧。
  66. ^ サクラ大戦コラボレビュー「OSK SAKURA NIGHT」公演 OSK日本歌劇団
  67. ^ 「サクラ大戦」×OSK日本歌劇団、夢のコラボレーションが実現!南座新開場記念 OSK日本歌劇団『OSK SAKURA NIGHT』上演決定! サクラ大戦.com






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