インドの公用語の一覧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/17 08:44 UTC 版)
概要
インドには、色々な人々の集団があると共に、それらの人々が話す多様な言語がある。少なくとも30の異なる言語があり、全体で、2000前後の方言が知られている。
インド憲法は、連邦政府の公的共通語として、ヒンディー語と英語の二つの言語の使用を規定している。連邦憲法はさらに第8附則において22の指定言語を定めているが、その公的な位置づけについては曖昧な部分が多い。
各州政府は必ずしもこれらの言語からのみ行政上の公用言語を採択できるわけでもない。また連邦政府と州政府のあいだの行政手続きや、連邦政府公務員の採用試験などの場面において必ず使用される言語と言い切れるのは英語だけであり、他のインド言語はケースバイケースで用いられる[1]。
憲法の制定当初の規定では、英語は、1965年には(ヒンディー語と並ぶ)公用語であることをやめることになっていた。しかし、ヒンディー語が広く使われている北部(広義でいうサンスクリット語文化圏)と違う、独自の言語の歴史を持ち、それがアイデンティティに強く繋がっている地域、代表的としてはタミル・ナードゥ州などから強く反対されたため、1963年の公用語法によって、英語は公用語としての地位を保ちつづけることになった[2]。
現在も(英語・ヒンディー語による)双子言語システムは、なお広く使われている。急激な工業化と、喧噪を極める多国籍的な経済の影響を受け、英語は、連邦政府における、また日常的ビジネス・シーンにおけるコミュニケーションのための一般的で実際的な手段として使用され続けている。
公用語(中央行政府・連邦政府)
州公用語

- アッサム語(Assamese アッサム州)
- ウルドゥー語(ジャンムー・カシミール州)
- 英語(アルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、ナガランド州、西ベンガル州、メーガーラヤ州、ミゾラム州)
- オリヤー語(Odia オリッサ州)
- カンナダ語(Kannada カルナータカ州)
- グジャラート語(Gujarati グジャラート州)
- コク・ボロック語(トリプラ州)
- コンカニ語(Konkani ゴア州)
- タミル語(Tamil タミル・ナードゥ州)
- テルグ語(Telugu アーンドラ・プラデーシュ州、テランガーナ州)
- ネパール語(Nepali シッキム州)
- パンジャーブ語(Punjabi パンジャーブ州)
- ヒンディー語(Hindi ハリヤーナー州、ジャールカンド州、マディヤ・プラデーシュ州、チャッティースガル州、ウッタル・プラデーシュ州、ウッタラーカンド州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ラージャスターン州、ビハール州)
- ベンガル語(Bengali 西ベンガル州、トリプラ州)
- マラーティー語(Marathi マハーラーシュトラ州)
- マラヤーラム語(Malayalam ケーララ州)
- ミゾ語(Mizo ミゾラム州)
- メイテイ語(Manipuri マニプル州)
憲法第8附則指定言語
備考
※(括弧)内は、その言語が(第一)公用語として制定されている州および連邦直轄地域を示す(副次的な公用語、州内の一部地域限定の公用語、便宜的利用や文化的保護等の目的で「公的に認知された」言語などは除外してある)。
※これらの言語の多くは各地で州公用語など何らかの公的な位置づけを得てはいるが、決して「国語」ではない[要追加記述]ことに注意されたい。
第8附則指定言語は当初14言語だったが、1967年にシンド語[5]、1992年にネパール語・コンカニ語・マニプリー語[6]、2003年にマイティリー語、ドーグリー語、サンタル語、ボド語が追加された[7]。
一覧
- アッサム語(アッサム州)
- ベンガル語(トリプラ州、西ベンガル州)
- ボド語
- ドーグリー語
- グジャラート語(ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域、ダマン・ディーウ連邦直轄地域、グジャラート州)
- ヒンディー語(アンダマン・ニコバル諸島連邦直轄地域、ビハール州、チャンディーガル連邦直轄地域、チャッティースガル州、デリー首都圏、ハリヤーナー州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ジャールカンド州、マディヤ・プラデーシュ州、ラージャスターン州、ウッタル・プラデーシュ州、ウッタラーカンド州)
- カンナダ語(カルナータカ州)
- カシミール語
- コーンカニー語(ゴア州)
- マイティリー語
- マラヤーラム語(ケーララ州、ラクシャディープ連邦直轄地域)
- マニプル語(メイテイ語) (マニプル州)
- マラーティー語(ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄地域、マハラシュトラ州)
- ネパール語
- オリヤー語(オリッサ州)
- パンジャーブ語(パンジャーブ州、デリー首都圏)
- サンスクリット語
- サンタル語
- シンド語
- タミル語(タミル・ナードゥ州、ポンディシェリ連邦直轄地域)
- テルグ語(アーンドラ・プラデーシュ州)
- ウルドゥー語(アーンドラ・プラデーシュ州、ビハール州、デリー首都圏、ジャンムー・カシミール州、ジャールカンド州、ウッタル・プラデーシュ州)
- ^ “インド公務員について”. www.clair.or.jp. www.clair.or.jp. 2021年7月4日閲覧。
- ^ Official Languages Act, 1963
- ^ “Report of the Commissioner for linguistic minorities: 50th report (July 2012 to June 2013)”. Commissioner for Linguistic Minorities, Ministry of Minority Affairs, Government of India. 2016年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月18日閲覧。
- ^ 使用されている国勢調査データが州レベルであるため、一部の言語は過剰または過少に表現される場合がある。 たとえば、ウルドゥー語には5,200万人の話者がいるが(2001年)、言語自体が主にインドのイスラム教徒の使用であるため、グジャラート語よりも多くのネイティブスピーカーがいるにもかかわらず、過半数となっている州はない。
- ^ “THE CONSTITUTION (TWENTY-FIRST AMENDMENT) ACT, 1967”. India Code. 2015年8月24日閲覧。
- ^ “THE CONSTITUTION (SEVENTY-FIRST AMENDMENT) ACT, 1992”. India Code. 2015年8月24日閲覧。
- ^ “THE CONSTITUTION (NINETY-SECOND AMENDMENT) ACT, 2003”. India Code. 2015年8月24日閲覧。
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- 2 インドの公用語の一覧の概要
- 3 関連項目
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