アフター6ジャンクション2 概要

アフター6ジャンクション2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 08:00 UTC 版)

概要

番組内容

最新カルチャー(映画音楽アイドルなど)の分析、独自の視点による文化研究の紹介、注目のアーティストを招いてのスタジオライブなど、カルチャーを楽しく体感できる企画を盛り込んだ「文化的情報娯楽番組[4]。「日常生活の中から『おもしろ』を掘り起こすカルチャー・キュレーション・プログラム」「あなたの"好き"が否定されない、あなたの"好き"が見つかる場所」と銘打って、リスナーの多様な嗜好に対応している。

パーソナリティはRHYMESTERラッパー宇多丸で、TBSテレビアナウンサー(放送開始時点)が日替わりでパートナーとして出演。テーマソングはRHYMESTERの書き下ろし曲「After 6」で、同曲のミュージックビデオには各曜日のパートナーも出演している[5]。また、番組の開始に際して、ロゴデザインを木村豊[4]、番組ジングルをALI-KICK(Romancrew)とMummy-D(RHYMESTER)が制作した[6][7]

番組タイトルは、「仕事や学校を終えた後の時間帯(午後6時以降=『after 6』)で、趣味や嗜好を共通点としてリスナーがつながる場(『ジャンクション』)になれるような番組にしたい」という意向[8]に、宇多丸が自身の楽曲主催フェスのタイトルでもある「人間交差点」へ込めたメッセージを重ねたものである[9]

通常編成では、時間帯ごとにコンセプトを設定(18時台:「カルチャーと出会うゾーン」、19時台:「ミュージックゾーン」、20時台:「カルチャーを学んだり発信したりするゾーン」)。上記のコンセプトに応じたコーナーに加えて、投稿コーナー、天気予報、交通情報などを放送している。2022年1月31日(月曜日)に、TBSラジオの制作による(ネット局への裏送りのみで対応した回を含めた)通算の放送回数が1000回に到達[10]

ちなみに、「ミュージックゾーン」の前半(19時台前半)に設けられている「LIVE&DIRECT」では、DJ KOOtofubeatsなどによるDJプレイやゲストミュージシャンによるライブパフォーマンスを連日放送。宇多丸曰く「日本国内のAMワイドFM局が平日の全曜日にレギュラーで編成する生ワイド番組では唯一」とされるライブ企画で、2020年の初頭まではTBSラジオのスタジオから放送されていた。同年4月以降は、日本国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けて、DJプレイ以外のパフォーマンスを局外のスタジオ(TBS放送センター近くの「パシオン・アカサカ」など)からの生中継(またはゲストミュージシャン側で事前に収録した音源の放送)に変更。本編全体でも、「パートナーがTBSラジオの第6スタジオから単独で生放送を進行しながら、宇多丸がスタープレイヤーズ(所属事務所)の会議室、ゲストが自宅や本業の活動拠点(所属している研究機関の研究室など)からZoom経由のリモート方式で出演する」というパターンや、「第6スタジオから同時に出演する人数を(宇多丸とパートナーを含めても)2名以内に限ったうえで、出演者を分散させるべく、第6スタジオに隣接する部屋も活用する」というパターンで対応することが相次いでいた。もっとも、感染症関連の国内法におけるCOVID-19の分類が2023年5月8日付で(季節性インフルエンザなどと同等の)「五類感染症」へ移行したことを受けて、同月以降の「LIVE&DIRECT」では第6スタジオでのライブパフォーマンスを徐々に再開している。

また、RHYMESTERのアルバム『Open The Window』(2023年6月21日にリリース)には、当番組で使用している楽曲から「After 6」(前述。ただしオンエアテイクのものとは一部リリックが異なる)と「予定は未定で。」(関東ローカル向け交通情報のBGM)のフルバージョンが収録されている。リリースの前日(6月20日)は火曜日であったため、宇多丸以外のRHYMESTERのメンバーからDJ JINをゲストに迎えたうえで、(「LIVE&DIRECT」や交通情報などを除く)大半の時間帯を2人による収録曲(全11曲)の解説特集に充てた。

放送開始までの経緯

TBSラジオでは、前身のラジオ東京(法人としては現在のTBSホールディングス)開局翌年(1952年)から65年間にわたって、プロ野球のレギュラーシーズン(主に年度上半期)にプロ野球のナイトゲーム中継を編成していた。しかし、土・日曜日におけるナイトゲーム中継の放送業務から撤退した2010年頃から、プロ野球中継の編成のあり方を局内で検討。放送対象地域である関東広域圏で他に複数のラジオ単営局(ニッポン放送文化放送、TBSラジオとの間でプロ野球中継に関する提携を組んでいたアール・エフ・ラジオ日本)がナイトゲーム中継をレギュラーで編成していることなどを背景に、2017年の日本シリーズを最後に、プロ野球中継の放送業務から完全に撤退することを決めた[11]。そのため、2017年までナイトゲームの中継枠に充てていた時間帯(平日18:00 - 21:00)でバラエティ系の生ワイド番組を新たに開拓すべく、全社規模のプロジェクトチームを設置[11]。当該時間帯が企業や学校の終業後に当たることから、「(TBS制作分を含む)ラジオ番組の既存リスナーだけでなく、普段ラジオを聴いていない人々にもリスナーになってもらえるような番組を編成する」という方向性を強く打ち出した[11]

プロジェクトチームでは、いわゆる「働き方改革」の影響によって従業員の帰宅時間を早める企業が相次いでいることや前述した方向性を踏まえながら、TBSラジオの得意分野である「カルチャー紹介番組」の枠組みで「余暇の過ごし方=趣味」を提案する生ワイド番組の制作を決定[4]。同局の人気番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』における活動で第46回ギャラクシー賞(2008年度)ラジオ部門のDJパーソナリティ賞を受賞していた宇多丸に、パーソナリティへの就任を打診した[8]。本人によれば、2017年初頭に平日の帯番組へ出演する旨の打診を受けていたものの、正式に打診されたのはそれから約1年後(同年12月頃)だったという[12]。結局、宇多丸が打診を受諾したため、『ウィークエンド・シャッフル』を帯ワイド番組へ「引っ越す」方式で当番組の放送開始に至った[13]

放送の開始に伴う影響

『ウィークエンド・シャッフル』は、当番組の開始2日前(2018年3月31日)に終了。最終回では、当番組のテーマソングや曜日別パートナーなどを発表した。

『ウィークエンド・シャッフル』からは公式のメールアドレス(utamaru@tbs.co.jp)を引き継いだほか、終了時点での主なスタッフ(プロデューサーの橋本吉史など)が当番組へ異動した。Twitter上の公式アカウントは、アカウント名を変更したうえで当番組へ継承[14]ハッシュタグについては、当番組の略称が「ターロク」から「アトロク」に変更された直後まで統一されておらず、宇多丸もリスナーの判断に委ねることを放送で容認していた。その後は、『ウィークエンド・シャッフル』で使用していた「#utamaru」に事実上集約されている。その一方で、Instagram上の公式アカウントについては、当番組の開始1週間前(同年3月26日)に終了した『都市型生活情報ラジオ 興味R』(月曜分の前番組)からアカウント名を変更したうえで当番組で引き継いでいる[15]

前述したように、一部地域のJRN系列局や独立局では、当番組を基本として同時ネットで放送している。ただし、同時ネットの対象曜日や時間帯はネット局によって異なる(詳細後述)。その一方で、TBSラジオが編成上の事情(日本レコード大賞の生中継など)で全編(または一部の時間帯)の自社(関東ローカル)向け放送を休止する場合には、当該時間帯のネット局向けに本編(当番組の制作自体を休止する場合には代替番組)の裏送りを実施している(当該項でも詳述)。

『アフター6ジャンクション2』へ「進化」

『アフター6ジャンクション』(『アトロク』)は番組開始以来、パーソナリティ(宇多丸)、レギュラーパートナーの顔触れ(月曜日:熊崎風斗、火曜日:宇垣美里、水曜日:日比麻音子、木曜日:宇内梨沙、金曜日:山本匠晃)、TBSラジオにおける放送時間の大枠を変えないまま、5年半にわたって放送。TBSラジオと一部のネット局における放送が6年目を迎えた2023年の4月からは、「ロク(6)周年プロジェクト」を展開している(詳細後述)。

その一方で、2023年8月29日(火曜日)20時台の「BEYOND THE CULTURE」では、「やっぱりみんな“2”が好き 」と称するリスナー投稿企画[注 2]を放送。この企画の放送中に、同年の10月改編から放送時間と番組のタイトルを変更することが宇多丸から発表された。変更後のタイトルは、『アフター6ジャンクション2』(『アトロク2』)。TBSラジオでの放送時間は毎週月 - 木曜日の22:00 - 23:30(9月28日まで『アシタノカレッジ』を放送していた時間帯)で、(土曜日に編成されていた)『ウィークエンド・シャッフル』時代と同じ時間帯に設定されている。なお、『アトロク2』の公式ハッシュタグには、『アトロク』時代に続いて「#utamaru」を指定[16]。その一方で、『アトロク2』では、放送の時間帯に合わせてテーマソングを一新した。

『アトロク』としては、TBSラジオのみ2023年9月29日(金曜日)、2023年度上半期(月・火曜分)のネット局で9月26日(火曜日)までに放送を終了。TBSラジオでは、9月29日まで月 - 金曜日の15:30 - 17:50に放送されている『荻上チキ・Session』(報道・情報系の生ワイド番組)が、翌週の月曜日(10月2日)から『アトロク』の放送枠を「JRNネットゾーン」(ネット局でも放送が可能な時間帯)ごと引き継いでいる(『アトロク』時代のネット局の対応については当該項で詳述)。

『アトロク2』は関東ローカル番組として、2023年10月2日から放送を開始。編成上の制約でレギュラーの放送枠を金曜日に設けられなかったものの、『アシタノカレッジ』で常時実施していたYouTubeからの「生配信」(放送中のスタジオ動画・放送向け音声のサイマル配信)および、アーカイブ配信を『アトロク』シリーズとしては初めて『アトロク2』の初回から月 - 木曜日を通じて展開している。ちなみに、TBSラジオが関東ローカル向けの生ワイド番組を平日21時台以降の時間帯にレギュラーで編成する事例は、『Session』シリーズの源流に当たる『BATTLE TALK RADIO アクセス』の初期(TBSがラジオとテレビの兼営局であった1998年10月から1年間)以来である。

また、『アトロク2』開始当初の放送時間が『アトロク』(TBSラジオでは基本として3時間=180分)の半分(90分)に定められたことを受けて、『アトロク』時代に放送されていたレギュラーコーナーの配置換えやリニューアルに踏み切った。『アトロク』で金曜日以外の20時台に編成されていた「BEYOND THE CULTURE」は月 - 水曜日の22時台、宇多丸が『ウィークエンド・シャッフル』時代から続けている映画評論コーナーの「MOVIE WATCHMEN」(『アトロク』では毎週金曜日の18時台後半に編成)は木曜日の22時台(いずれも22:15頃からの40分間)に放送。「LIVE&DIRECT」は週1回(木曜日のみ)の放送へ移行したうえで、放送枠を23時台(23:00からの約20分間)に設定している。逆に、月 - 水曜日の23時台には、『アトロク』の全曜日で19時台の終盤(「LIVE & DIRECT」と「BEYOND THE CULTURE」の間)に編成されていた日替わりの投稿企画を前半(23:00からの約10分間)で継続。『アトロク』で18時台の後半に放送されていた「CULTURE TALK」を、「明日使える『一発必中』のカルチャー情報を紹介する」と銘打った「CULTURE ONE-SHOT」(カルチャー・ワンショット)というコーナーに変更したうえで、月 - 水曜日の23時台中盤(投稿企画とエンディングパートの間)に組み込んでいる。

曜日パートナーについては、上記の5人を全員続投させる一方で、担当する曜日と頻度を刷新した。オスカープロモーション所属のフリーアナウンサーに転身した2019年度以降も毎週火曜日に『アトロク』のパートナーを務めてきた宇垣は月曜日、日比は火曜日、宇内は水曜日、熊崎は木曜日に出演。いずれも(カレンダーで4週目に当たる)第4週には出演しないが、5週で構成される月には、第5週の放送でも曜日に応じてパートナーを務めている。第4週については、山本が月・火曜日に出演するほか、レギュラーパートナー以外で(『アトロク』のパートナー代理経験者を中心にTBSテレビの元・アナウンサーなどを含む)人物が月替わりで水曜日のパートナーを担当。その一方で、第4週の木曜日にはパートナーを付けず、宇多丸が単独で進行する。その他にも、『アトロク』としての放送最終月(2023年9月)時点でのレギュラー出演者から、一部の人物やグループが『アトロク2』でも続投している(当該項で詳述)。

宇多丸は上記の変更を「進化」と表現するとともに、『アフター6ジャンクション2』を「『アフター6ジャンクション』の第2章」と位置付けたうえで、「『聴くカルチャープログラム』として更なる高みを目指す」との決意を披露[3]。前述したYouTubeでの「生配信」開始に加えて、『アトロク』時代からポッドキャストで実施している放送済み音源やオリジナル音声コンテンツの配信を手厚くすることを明言している。

もっとも、宇多丸は開始時点の放送時間を「一旦」「差し当たって」90分に定めたことを繰り返し強調。TBSラジオが『アシタノカレッジ』の放送期間中(2023年4月3日)から『朗読・斎藤工 深夜特急 オン・ザ・ロード』(Amazonオーディブルでの音源配信と連動した収録番組)を毎週月曜日 - 金曜日の23:30 - 23:55に編成していたことを念頭に、放送の曜日・時間を将来的に再び変更する可能性へ含みを持たせていた。

『深夜特急 オン・ザ・ロード』は斎藤工俳優映画監督)が『深夜特急』(沢木耕太郎の小説)全6巻を朗読することを前提に制作されていたが、朗読が放送上(当初告知されていた)2023年9月までに「完結」しなかったため、『アトロク』が『アトロク2』へ移行するタイミングで放送の期間を延長することが決まっていた。宇多丸が『アトロク2』の放送時間について上記の発言を繰り返していたのは、『深夜特急 オン・ザ・ロード』が「完結」する時期が、『アトロク2』の開始時点で明らかにされていなかったことによる。

結局、『深夜特急 オン・ザ・ロード』は2024年1月31日(水曜日)のスペシャル版(『アトロク2』を休止したうえで22:00 - 23:55に放送)をもって「完結」に至ったため、翌2月1日(木曜日)からは『アトロク2』の放送時間を毎週月 - 木曜日の22:00 - 23:55に拡大。ただし、レギュラーパートナー陣の顔触れ・配置、「LIVE & DIRECT」の週1回(木曜日限定)放送などに変化はなく、YouTubeでの「生配信」も放送時間の拡大に合わせながら続けられている。編成上は放送枠の拡大後も「関東ローカル番組」として扱われているが、2月19日(月曜日)から順次開催されている「アトロクブックフェア2024」(番組内での「推薦図書」や「必修図書」を参加書店の裁量に応じて販売するイベント)には、関東以外の地方からも(『アトロク』時代の未ネット地域を含めて)30店以上の書店が参加している(詳細後述)。







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