保舵力
直進状態やある旋回状態を保つために、ステアリングホイールの接線方向に加える力をいう。接地荷重、タイヤ特性、車体の位置エネルギーの変化、オーバーオールステアリングレシオ、ステアリング系の効率、スクラブ半径、キャスタートレール、駆動、制動力などで決まる。保舵力は、タイヤ方向からの復元力がサスペンションやステアリング系のフリクションで吸収されるため、一般に操舵力よりも小さい。保舵力の小さいほうが運転は楽になるが、ハンドルをもつ安心感、信頼感に関係するため、クルマの性格に応じて設定される。スポーツカーは重めに設定することが多い。評価は、一般に定常円旋回中の保舵力を、横加速度を変えて計測する方法で行う。
参照 操舵力、復元力(ステアリング)操舵力
ハンドルを操作するためにハンドルの回転方向に加える力をいう。操作力とハンドル回転方向の方向が一致しているときの操作力である。接地荷重、タイヤ特性、車体の位置エネルギーの変化、オーバーオールステアリングレシオ、ステアリング系の効率、スクラブ半径、キャスタートレール、駆動、制動力などで決まるが、様態は走行状態で大きく異なる。例えば、据切り操舵力ではタイヤと路面の滑り摩擦力が、極低速では滑り摩擦力とセルフアライニングトルクが、中高速ではセルフアライニングトルクがそれぞれの支配的要因となる。また、極低速大舵角時に内外輪の実舵角の差が少ないと、操舵力がマイナスのセルフステアリングが起こる。操舵力は、運転者が目標の操舵角を得るために、操舵系の反力に打ち勝って行う働きかけであるが、同時に路面の滑りやすさやクルマの安定状態などの重要なフィードバック情報にもなっている。低速時には、操舵力の軽きが重視されるが、高速になるほど、正確な運転のために過不足のない適切な操舵力が求められる。
参照 据切り操舵力、復元力(ステアリング)、保舵力- steering effortのページへのリンク