iPS細胞による治療の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 00:22 UTC 版)
「加齢黄斑変性」の記事における「iPS細胞による治療の試み」の解説
高橋政代(神戸理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト代表)は、2014年9月12日に自己由来のiPS細胞から作成した網膜を患者へ移植する臨床研究を世界で初めて実施した。これは加齢黄斑変性の治療を目的としたものである。これまで動物実験でのみ行われてきた人工的に作成した網膜を生体に移植する研究を実際に人体に応用した初期の例である。約1年後、該当する患者の視力はほとんど下がらず、腫瘍の発生もないと報告された。2017年2月には、神戸市立医療センター中央市民病院、大阪大学大学院医学系研究科、京都大学iPS細胞研究所、理化学研究所が申請していた他人由来のiPS細胞を使った滲出型加齢黄斑変性症の臨床試験に対し厚生労働省が計画を了承し、2017年4月から5人の患者に移植が実施された。2019年4月18日、理化学研究所らが他人由来のiPS細胞を使った滲出型加齢黄斑変性の治療を受けた5人の患者の術後1年の経過を報告。安全性が確認され、視力低下も抑えられた。5人とも移植細胞が定着しており、損なわれた目の構造が修復できたことも確認した。ただし、VEGF阻害剤投与では視力の改善が一般に見られるので(上述)、現在のところはVEGF阻害剤投与の方が施術の容易さ、コスト、視力回復の成績、の全てにおいて優れていると考えられる。
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