ZQキャリブレーション (ZQ Calibration:ZQCAL) コマンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 10:16 UTC 版)
「DDR3 SDRAMにおけるコマンドとオペレーション」の記事における「ZQキャリブレーション (ZQ Calibration:ZQCAL) コマンド」の解説
ZQキャリブレーションは出力抵抗RonおよびODTを補正するために用いられる。DDR3 SDRAMは初期化時のRONとODTの補正により長い時間を要する。また定期的にRON/ODTの補正が必要になる。この補正は初期化時よりも短い時間で完了する。 ZQキャリブレーションロング (ZQ Calibration Long:ZQCL) コマンドは電源投入後の初期化シーケンス内で行われる初期補正で使用される(もちろん、このコマンドは電源投入時だけではなくシステム環境に応じてコントローラはいつでも入力できる)。ZQCLコマンドはメモリデバイス内部の補正回路を起動する。補正完了と共に補正値は補正回路から入出力部へ送られ、RON/ODTを更新・反映される。リセット後の最初のZQCLコマンドは完全な補正と全ての値の更新のためにtZQinit (512サイクル) の期間を必要とする。それ以外のときはZQCLはtZQoper (256サイクル) で完了する。ZQキャリブレーションショート (ZQ Calibration Short:ZQCS) コマンドは定期的な補正で使用される。ZQCSコマンドはZQCLコマンドに比べて短い時間:tZQCS(64サイクル)で補正を完了する。tZQinit/tZQopen/tZQCSの間は抵抗値の補正精度を高めるためにメモリデバイスの入出力チャンネルを静止状態に保たなければならない。DLL ロックと同時にZQキャリブレーションを行うことは可能である。 ZQCSは下式で示される間隔以下で実行することが推奨されている。 Δ Z Q C S = 0.5 [ % ] ( T s e n s × T d r i f t r a t e ) + ( V s e n s × V d r i f t r a t e ) {\displaystyle \Delta ZQCS={\frac {0.5^{[\%]}}{(T_{sens}\times T_{driftrate})+(V_{sens}\times V_{driftrate})}}} ただし、式中の Δ Z Q C S {\displaystyle \Delta ZQCS} はZQCSコマンド間隔の推奨値、 T s e n s {\displaystyle T_{sens}} は最大温度感度(抵抗値がどれくらい温度の変化に敏感かを示す値)、 T d r i f t r a t e {\displaystyle T_{driftrate}} はシステムの温度変化の周期、 V s e n s {\displaystyle V_{sens}} は最大電圧感度(抵抗値がどれくらい電源電圧の変化に敏感かを示す値)、 V d r i f t r a t e {\displaystyle V_{driftrate}} は電圧変化の周期を表す。 ここで、対象デバイスの T s e n s {\displaystyle T_{sens}} および V s e n s {\displaystyle V_{sens}} のスペックが T s e n s = 2.0 [ % / ∘ C ] {\displaystyle T_{sens}=2.0^{[\%/^{\circ }C]}} T d r i f t r a t e = 0.20 [ % / m V ] {\displaystyle T_{driftrate}=0.20^{[\%/mV]}\,} であり、システム環境が V s e n s = 1.0 [ ∘ C / s ] {\displaystyle V_{sens}=1.0^{[^{\circ }C/s]}} V d r i f t r a t e = 5 [ m V / s ] {\displaystyle V_{driftrate}=5^{[mV/s]}\,} で、あたえられるときZQCSコマンド間隔の推奨値 Δ Z Q C S {\displaystyle \Delta ZQCS} は以下のように求めることができる。 Δ Z Q C S = 0.5 [ % ] ( T s e n s × T d r i f t r a t e ) + ( V s e n s × V d r i f t r a t e ) = 0.5 [ % ] ( 2.0 [ % / ∘ C ] × 1.0 [ ∘ C / s ] ) + ( 0.20 [ % / m V ] × 5 [ m V / s ] ) = 0.5 [ % ] 2.0 [ % / s ] + 1.0 [ % / s ] = 167 [ m s ] {\displaystyle {\begin{aligned}\Delta ZQCS&={\frac {0.5^{[\%]}}{(T_{sens}\times T_{driftrate})+(V_{sens}\times V_{driftrate})}}\\&={\frac {0.5^{[\%]}}{(2.0^{[\%/^{\circ }C]}\times 1.0^{[^{\circ }C/s]})+(0.20^{[\%/mV]}\times 5^{[mV/s]})}}\\&={\frac {0.5^{[\%]}}{2.0^{[\%/s]}+1.0^{[\%/s]}}}\\&=167^{[ms]}\\\end{aligned}}}
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