Wnt経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 16:17 UTC 版)
Wnt経路は個体の発生時に細胞の成長と増殖を担う。そのため、この経路の活性化はmTORC1の活性化ももたらすと推測されている。Wnt経路の活性化はGSK3B(英語版)を阻害する。Wnt経路が活性化されていないときには、GSK3BはAMPKによるTSC2のセリン1345番のリン酸化を受けてセリン1341番とセリン1337番のリン酸化を行う。GSK3Bが標的のセリン残基をリン酸化するためには、まずAMPKによるSer1345のリン酸化が必要であることが示されている。このTSC2のリン酸化はTSC複合体を活性化する。Wnt経路はこのGSK3シグナルを阻害するため、mTORC1は個体発生のためにタンパク質合成を活性化することができるようになる。
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Wnt経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:44 UTC 版)
通常、Wntシグナル経路はがん抑制因子であるAPCとAxinを含むタンパク質複合体の不活性化によってβ-カテニンが安定化される。このβ-カテニン分解複合体はβ-カテニンのリン酸化を開始し、その分解を誘導する。APCとAxinの変異によるオートクリン型Wntシグナルの調節異常は、ヒトのさまざまなタイプのがんの活性化と関連付けられている。オートクリン型Wntシグナル経路の調節異常は上皮成長因子受容体(EGFR)や他の経路のトランス活性化をもたらし、それらが腫瘍細胞の増殖に寄与する。例えば大腸がんでは、APC、Axin、またはβ-カテニンの変異はβ-カテニンの安定化を促進し、がん関連タンパク質をコードする遺伝子の転写を促進する。さらに、ヒトの乳がんでは、調節異常をきたしたWntシグナル経路への干渉によって、がんの増殖と生存が低下する。これらの知見は、リガンド-受容体レベルでのWntシグナルへの干渉によってがん治療の効果が改善する可能性を示唆している。
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