ブリテンのトマ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 23:05 UTC 版)
ブリテンのトマ(英語: Thomas of Britain、仏語: Thomas d'Angleterre, アングルテールのトマとも)は、12世紀の詩人。トリスタンとイゾルデ伝説の作品の一つである古フランス語の詩『トリスタン』を書いたことで知られる。
トリスタン
トマの『トリスタン』は3300行しか残っておらず、大半が物語の後半部のものである。現存するのは全体の6分の1と言われている。
この詩作はヘンリー2世の宮廷と近い結びつきが読み取れるため、おそらくアリエノール・ダキテーヌのために1155年から1160年の間に書かれたとされる。それ以上のトマの素性は闇に包まれている。かつてトマは『角物語』(Romance of Horn)を書いた「トマ」と同一人物と考えられていたが、現在は否定されている。
トマのテキストは断片のみであるが、トマの作品を二次的に使用したものが残っており、不足分を復元することが可能である。
- ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクの『トリスタン』(中高ドイツ語)、これは1210年の未完の作品であるが、偶然にもトマの作品に欠けている部分をすべてカバーしている。ゴットフリートは物語を約3倍に膨らませたが、残りの部分はトマの作品に忠実とされる。
- 修道士ローベルト(英語版)が1226年に書いた散文作品『トリストラムとイソンドのサガ』(Tristrams saga ok Ísöndar, 古ノルド語)。トマの物語を縮約している。
- 中英語の『トリストレム卿』(韻文、13世紀)。トマを大幅に要約した再話である。
- イタリア語の『円卓』(La Tavola Ritonda, 散文、14世紀)。
トマの作品は、トリスタン伝説の「宮廷本系」で知られている限り最初の作品であり、ゴットフリートもこの宮廷本系に属している。これはベルールやアイルハルト・フォン・オベルクの「流布本系」とは区別される。宮廷本系は宮廷の聴衆の感性と期待に沿うことに重点が置かれている。これらをうけて、後のすべての作品に影響を与えたオリジナルの『原トリスタン』(Ur-Tristan)を仮定する学者もいる。ジョゼフ・ベディエ(英語版)は後の作品からオリジナルを再現する試みを行った。
日本語訳
- 佐藤輝夫 著『トリスタン伝説 流布本系の研究』 1981年 中央公論社 ISBN 978-4120009969。本の後半の資料編に、流布本の代表としてベルール『トリスタン物語』、風雅体本の代表としてトマ『トリスタン物語』の翻訳を収録している。
- 新倉俊一訳『フランス中世文学集 1 信仰と愛と』 1990年 白水社 ISBN 978-4560046005。ベルール『トリスタン物語』、トマ『トリスタン物語』、オクスフォード本『トリスタン佯狂』、ベルン本『トリスタン佯狂』を収録。
関連項目
- トリスタンとイゾルデ
- アングロ・ノルマン文学(英語版)
- アーサー王物語
外部リンク
- Tristan of Thomas of Britain in French Wikisource.
- Complete text of three fragments
- Text of three fragments and modern French translation
- The Carlisle Fragment of Thomas's Tristan, translated J. Shoaf
- Text of 6 fragments
- The Romance of Tristan & Iseult Drawn from the best French Sources and Retold by J. Bédier Rendered into English by H. Belloc at Project Gutenberg.
「Thomas of Britain」の例文・使い方・用例・文例
- Microsoftがβ版をランチするのは「NetShow streaming server」で動画や音声をオンデマンドで提供する。
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- 篏入的 r 音 《英音の India office /ndiərfɪs/の /r/の音》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- は of の誤植です.
- を off と誤植する.
- あいまい母音 《about, sofa などの /ə/》.
- 副詞的小詞 《on, in, out, over, off など》.
- 迂言的属格 《語尾変化によらず前置詞によって示す属格; たとえば Caesar's の代わりの of Caesar など》.
- çon of garlic [humor]. それにはガーリック[ユーモア]がちょっぴり必要だ.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Speaker of the House of Commons 下院議長.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Committee of Ways and Means 歳入委員会.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- (違法罪―a sin of commission―に対する)怠惰罪
- 『each』、『every』、『either』、『neither』、『none』が分配的、つまり集団の中の1つのものを指すのに対し、『which of the men』の『which』は分離的である
- 『hot off the press(最新情報)』は『hot(最新の)』の拡張感覚を示している
- 『Each made a list of the books that had influenced him』における制限節は、リストに載った本を制限節で定義された特定の本だけに制限する
- 臨床的鬱病を治療するのに用いられる三環系抗鬱薬(商品名ImavateとTofranil)
- 『sunshine-roof』は『sunroof(サンルーフ)』に対する英国の用語である
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