QEDとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/04 14:11 UTC 版)
「オイラー=ハイゼンベルク・ラグランジアン」の記事における「QEDとの関係」の解説
電磁相互作用を記述する量子電磁力学(QED)において、自由度は電子のような荷電粒子と相互作用の担い手である光子である。 L Q E D = ψ ¯ ( i γ μ D μ − m e ) ψ − 1 4 F μ ν F μ ν = ψ ¯ ( i γ μ ( ∂ μ + i e A μ ) − m e ) ψ − 1 4 F μ ν F μ ν {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathcal {L}}_{\mathrm {QED} }&={\bar {\psi }}(i\gamma ^{\mu }D_{\mu }-m_{e})\psi -{\frac {1}{4}}F_{\mu \nu }F^{\mu \nu }\\&={\bar {\psi }}\left(i\gamma ^{\mu }(\partial _{\mu }+ieA_{\mu })-m_{e}\right)\psi -{\frac {1}{4}}F_{\mu \nu }F^{\mu \nu }\end{aligned}}} 一方、オイラー=ハイゼンベルク・ラグランジアンに含まれる自由度は光子のみである。 L E − H = − 1 4 F μ ν F μ ν + α 2 m e 4 { c 1 ( F μ ν F μ ν ) 2 + c 2 ( F μ ν F ~ μ ν ) 2 } + O ( m e − 6 ) {\displaystyle {\mathcal {L}}_{\mathrm {E-H} }=-{\frac {1}{4}}F_{\mu \nu }F^{\mu \nu }+{\frac {\alpha ^{2}}{m_{e}^{4}}}\left\{c_{1}(F_{\mu \nu }F^{\mu \nu })^{2}+c_{2}(F_{\mu \nu }{\tilde {F}}^{\mu \nu })^{2}\right\}+{\mathcal {O}}(m_{e}^{-6})} 従って、この理論は低エネルギーの光子・光子散乱などの光子同士の相互作用を記述するのに適している。 このラグランジアンは、電子の質量と比べて十分小さいエネルギー領域のQEDを近似的に再現する有効場の理論である。これは、この理論によって再現できる物理現象は光子が十分に小さい運動量を運んでいる場合に起こる現象に制限されており、光子が電子の質量と同程度以上の運動量を持ってしまうと、破綻してしまうことを意味している。 QEDにおいては、3つ以上の光子が1点で相互作用する過程は存在せず、3つ以上の光子が関わる過程には必然的にフェルミ粒子が媒介される。オイラー=ハイゼンベルク・ラグランジアンにはそのような役割を担うフェルミ粒子は存在しないため、あらゆる相互作用は光子同士の点状相互作用として置き換えられる。
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