QEDとランダウ・ポール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 04:01 UTC 版)
「結合定数 (物理学)」の記事における「QEDとランダウ・ポール」の解説
ベータ関数が正の値をとるとき、エネルギースケールの増加に伴い結合定数は増加する。この例は量子電磁力学 (QED) において現れ、QEDのベータ関数が常に正であることは摂動論によって示される。特に、低エネルギースケール(遠距離領域)において、微細構造定数は α ≈ 1/137 となる一方で、およそ 90 GeV の質量スケールを持つZボソンでは α ≈ 1/127 となる。 一方、高エネルギースケール(近距離領域)においては、エネルギースケールが大きくなるにつれて結合が強くなる。実際、ある有限のエネルギーにおいてQEDの結合定数は無限大となる。この現象は、レフ・ランダウによって初めて指摘されランダウ・ポールと呼ばれている。しかし、高エネルギースケールにおいて摂動論によるベータ関数が正しい結果を与えることは期待できず、ランダウ・ポールは摂動論が適用できない領域で摂動論を適用した為に生じた人為的な結果であると考えられている。高エネルギースケールにおける結合定数の正しい振る舞いは摂動論で解析できず、非摂動的な方法が必要となる。
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