OODAループとは? わかりやすく解説

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OODAループ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 04:11 UTC 版)

OODAループ英語: OODA Loop、ウーダ・ループ)は、意思決定行動に関する理論[1][2][3][4]アメリカ空軍ジョン・ボイド大佐により提唱されて、元々は航空戦に臨むパイロットの意思決定を対象としていたが[3][4]作戦術戦略レベルにも敷衍され[5]、更にビジネス政治など様々な分野でも導入されており[5][6][7]コリン・グレイらにより、あらゆる分野に適用できる一般理論 (Grand theoryと評されるに至っている[5][8][9][注 1][注 2]


注釈

  1. ^ 経営コンサルタントである入江仁之は「戦略一般理論」と評している[1]。ジョン・ボイドによると、 戦略とは「多くの混迷をもたらす出来事が起こり、数多くの利害が対立するしばしば予測不可能な展開をする世界において、多様な意思の力を調和させることによって特定の目的を実現するための根幹となる方法」と定義されている[10]
  2. ^ a b 経営学者である野中郁次郎は、OODAループモデルについて、「誤解や拡大解釈が横行している」と警鐘を鳴らしている。本モデルは基本的に個人の状況適応モデルであって、知識創造モデルではなく経営の質を高めるなどといった組織の知識創造能力やイノベーション能力の向上と直結させるのは無理があるとしSECIモデルを提唱した。また、例えば変化の穏やかな市場にはPDCAサイクル、変化の激しい市場にはOODAループが適すると提言した[11]
  3. ^ OODAループ創出時を含めて、戦後長いことこの比率が信じられてきたが、後に詳細な調査により、5.6対1に修正された[13]。またランド研究所の研究では、実際には更に対等に近く、全体では1.8:1に近く、F-86とMiG-15だけに限れば1.3:1程度だったとされている[14]
  4. ^ 陸上自衛隊への導入に関わった三原光明 元陸将補は、経験的に本モデルがうまく機能するのは小隊程度までであり、師団ではまず無理であると指摘するとともに、OODAは機動戦、逆に従来から知られているPDCAサイクルは消耗戦など、それぞれの得意な分野で適用すべきであると指摘している[11]
  5. ^ ボイドはその著作の大部分を完成させた段階でこのことを知り、新郷重夫大野耐一の著作に関心を抱くようになった[19]

出典

  1. ^ a b c 入江 2018, pp. 06–07.
  2. ^ a b 野中 2017, pp. 92–93.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 北村 & 北村 2009, pp. 185–205.
  4. ^ a b c d e f g h i j 大熊 2006, pp. 148–152.
  5. ^ a b c Zellen 2012, pp. 82–84.
  6. ^ 入江 2018, pp. 202–238.
  7. ^ a b c d e f g 大熊 2011, pp. 213–229.
  8. ^ Hammond 2018, pp. 1–12.
  9. ^ Gray 1999, pp. 90–91.
  10. ^ 入江 2018, pp. 97.
  11. ^ a b 野中 & 三原 2019.
  12. ^ 入江 2018.
  13. ^ Michael Peck (May 18, 2015). “Cold War Battle in the Sky: F-86 Saber vs. Mig-15”. ナショナル・インタレスト. https://nationalinterest.org/feature/cold-war-battle-the-sky-f-86-saber-vs-mig-15-12909. 
  14. ^ John Stillion; Scott Perdue (2008年8月). Air Combat Past, Present and Future (PDF) (Report). 2012年10月6日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2018年12月3日閲覧
  15. ^ 入江 2018, pp. 56–57.
  16. ^ Richards 2019, pp. 125–126.
  17. ^ a b c Richards 2019, pp. 106–113.
  18. ^ Richards 2019, pp. 187–190.
  19. ^ a b Richards 2019, pp. 13–18.
  20. ^ Richards 2019, pp. 329–341.
  21. ^ a b Ries 2012.
  22. ^ 中村 2018.
  23. ^ 入江 2018, pp. 03–72.
  24. ^ 入江 2019.


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