軍事全般への敷衍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 08:09 UTC 版)
上記のすべてを包括するOODAループがなく、更に、他者のOODAループ内に侵入する能力がなければ、「不確定で、常に流動する予測不能な現実」を理解し、表現し、現実に適合し、そしてそれに対応して意思決定を行うことは期待しえない。 ボイドは、戦史上、特に劣勢とみられる側が優勢な敵を撃破した戦例において、敵の精神的要素に打撃を加えることによる勝利がしばしばみられることを発見した。この場合、劣勢な軍隊は敵主力との正面衝突を避け、奇襲・欺瞞などの奇襲攻撃や、敵の弱点への集中攻撃 (surgical strike) により、敵の指揮官や指導部を精神的混乱に陥れ、勝利を得ていたと考えられた。そしてその鍵となるのが、OODAループの回転速度の迅速性であった。OODAループのテンポが速いということは、彼我の状況に即応し、迅速に行動を修正できるというだけでなく、敵との関係で主導権を握ることにもつながる。主導権を握り、自己のOODAループを高速回転させ、更なる行動を繰り出すことで、敵はその対応に忙殺されて本来あるべきOODAループを作動することができなくなり、心理的に追い詰められることになる。これが機略戦のキーポイントの一つである。 陸上自衛隊も本理論に注目したものの、戦術作戦・戦闘教範である『野外令』に収録するにあたって検討した結果、「ビッグO」の具体的な定義が困難であると結論し、最初の2つのOを「I」、すなわち「情報」(information)として統合したIDAサイクルに改訂した。
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