NASAローバー計画の中止とミネルバ計画の進展
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「ミネルバ (ローバー)」の記事における「NASAローバー計画の中止とミネルバ計画の進展」の解説
ミネルバの開発が進められていく中で、2000年11月、NASAは開発を進めていたローバー、MUSES-CNの開発中止を決断した。MUSES-CNには約20億円の開発費用が投じられていたが、今後更に費用を要することが見込まれるため計画中止にしたという説明がなされた。NASAのローバーが中止になったことにより、ミネルバがMUSES-Cに搭載される可能性は極めて高くなったものの、ミネルバはオプション扱いのままで正式プロジェクトに格上げされることはなく、完成まで資金難に苦しみ続けることになり、実際にMUSES-Cに搭載されるかについても保証されなかった。 一方探査機本体であるMUSES-C自体も開発に際して様々な困難に直面しており、当初2002年1月に予定されていた打ち上げが再三延期され、結局2003年5月9日の打ち上げとなった。資金不足、厳しい重量と大きさの制限という過酷な条件下で開発が進められていたミネルバにとって、MUSES-Cの打ち上げ延期は開発までの時間稼ぎにもなったが、当初の計画ではミネルバは地上からの指示を受けることなく完全自律で動かす予定であったものが、地上からのテレオペレーションでも動かせるように方針が変更されたため通信効率を大幅に上げる必要性が生まれ、通信ソフトウエアを作り替えるなど、新たな要求にも対処せねばならなかった。2000年3月にエンジニアリングモデルが完成したミネルバは、2001年3月にはMUSES-C本体との試験を行うことができるプロトフライトモデルが完成し、2003年2月にミネルバ本体が完成する。ミネルバは日本初の宇宙探査用ローバーであり、また世界初の小惑星探査ローバーとなった。
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