METのキナーゼ阻害剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/29 15:04 UTC 版)
「c-Met」の記事における「METのキナーゼ阻害剤」の解説
詳細は「c-MET阻害剤(英語版)」を参照 キナーゼ阻害剤は、ATPがMETに結合するのを防ぎ、受容体のトランスリン酸化と下流のエフェクター分子のリクルートを防ぐ低分子である。キナーゼ阻害剤の限界は、METのキナーゼ活性依存的な活性を阻害するだけであること、METに対する十分な特異性を示すものはまだ存在しないことである。 K252a(Fermentek Biotechnology)は土壌菌Nocardiopsis sp.から単離されたスタウロスポリンアナログであり、すべての受容体型チロシンキナーゼの阻害剤である。K252aはnMレベルの濃度で野生型と変異型(M1268T)のMETの機能を阻害する。 SU11274(SUGEN)は、METのキナーゼ活性とその後のシグナル伝達を特異的に阻害する。また、SU11274はM1268T、H1112Y型MET変異体の効果的な阻害剤であるが、L1213V、Y1248H型変異体には効果がない。SU11274はHGFによって誘導される上皮細胞とがん細胞の運動性と浸潤性を阻害することが示されている。 PHA-66572(ファイザー)はMETのキナーゼ活性を特異的に阻害し、METのHGF依存的なリン酸化と恒常的なリン酸化の双方を阻害することが示されている。さらに、MET遺伝子が増幅している腫瘍の一部は、PHA-665752処理に対してきわめて高い感受性を示す。 チバンチニブ(英語版)(ARQ197、ArQule)はMETの有望な選択的阻害剤で、2008年に第2相の臨床試験が行われたが、2017年に第3相試験は失敗に終わった。 フォレチニブ(英語版)(XL880、Exelixis)は、増殖促進と血管新生作用を持つ複数の受容体型チロシンキナーゼを標的とする。フォレチニブの主要な標的はMETとKDR(英語版)(VEGFR2)である。フォレチニブは、乳頭状腎細胞がん、胃がん、頭頸部がんに対する第2相試験が終了している。 SGX523(SGX Pharmaceuticals)はnMレベルの低い濃度でMETを特異的に阻害する。 MP470(SuperGen)はc-Kit(英語版) 、MET、PDGFR(英語版)、FLT3(英語版)、AXL(英語版)に対する新規阻害薬である。MP470の第1相臨床試験が2007年に発表されている。
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