Leber遺伝性視神経症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 03:35 UTC 版)
「神経眼科学」の記事における「Leber遺伝性視神経症」の解説
Leber遺伝性視神経症(leber hereditary optic neuropathy、LHON)はミトコンドリア病のひとつであり、ミトコンドリア内の電子伝達系複合体Ⅰのサブユニットをコードする遺伝子の突然変異によるミトコンドリアの反応性酸素分子種の増加に伴う網膜神経節細胞のアポトーシスによって起こると考えられている。多くは若年男性の片眼あるいは両眼に亜急性に徐々に視力低下がみられ、早ければ数週、通常数ヶ月、場合によっては1年以上の間隔をあけて必ず僚眼にも発症する。視力は最終的には高度に低下し、視野では大部分で中心暗点を呈する。発症数ヶ月くらいで視神経乳頭の耳側より蒼白化がはじまり、通常1年位で両眼とも高度な視神経委縮に至り、最終的に視力は0.1未満に成ることが多い。 視力障害が高度な割に対光反射が良好な特徴がある。またRAPDも認められない。また無痛性であることが他の視神経症と大きく異る特徴である。視神経乳頭に発赤と腫脹があるため視神経炎との鑑別が問題となる。 眼底検査で多くの症例で発症前から視神経周囲に微細血管拡張症(microangiopathy)を認め、視神経が異様に充血し赤く、軽度境界不鮮明で乳頭浮腫を呈する。また乳頭周囲にはそれほど血管の拡張や蛇行を認めず充血のみが著明なものも存在する。蛍光眼底撮影では乳頭の充血や血管症が高度でも全経過を通じて視神経乳頭からの蛍光色素の漏出をみない。ただ全く眼底変化を示さず、球後性視神経炎様の症状で発症するものもある。これらの乳頭は数週間から数カ月で単性あるいは炎性視神経萎縮に移行する。OCTではすでに発症以前あるいは保因者の時点からcpRNFLはすでに正常上限を超えて腫脹し、発症後徐々に減少し、発症後1ヶ月後程度から正常下限を下回る。またGCAでは発症1ヶ月前からすでに徐々に萎縮を始めている。 半数以上で家族歴が認められるが母系遺伝を示す。変異型によっては視力の自然回復例もある。イデベノンの大量内服が有効との報告もある。
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