ベルティーニ
初級・中級者向けの「練習曲」によって名を成した作曲家たちは、往々にしてその本性を歴史の暗がりに隠したまま、静かに再評価の時を待っている。ウィーンのカール・チェルニーと同様、パリのベルティーニもまた多作な練習曲作家というレッテルを長きに亘って甘受してきた。ベルティーニの20作を越える大小様々な練習曲集のうち、幾つかは今なお出版され続け、手ごろな教材として利用されている。だが、今日我々がもつベルティーニについての知識は、それが全てである。 教育的な作品が、他のジャンルの作品に比べて残りやすいというのはある意味では当然のことかもしれない。19世紀を通して国公立の音楽院教育が急速に整備されるに従い、教授法も次第に画一化していった。ピアノの普及に伴う音楽院の学生の増加によって、より効率のよいカリキュラムが重視されるようになると、必然的に教育に利用されるレパートリーは限定されていく。そうして制度化された教育システムの中に組み込まれた作品が、教育システムと共に長い命脈を享受するのである。
フランスのピアニスト、作曲家。オギュスト・ベルティーニの弟。パリで幼年時代を過ごし、父から音楽の手ほどきを受け、クレメンティに学んだ兄からその成果を教え込まれた。
13歳のとき父の演奏旅行に同行し、ベルギー、オランダ、ドイツで演奏した。
作品には多数のロンド、ファンタジア、選抜試験用の独奏曲、演奏曲、ディヴェルティスマンなどがあり、練習曲は100年以上にわたって用いられた。
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