G-R則の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/16 15:09 UTC 版)
「グーテンベルグ・リヒター則」の記事における「G-R則の問題点」の解説
G-R則は全世界の大地震についても局地的な小地震についてもほぼ成り立っているが、問題点が二つある。 一つはb値がb1、b2という二つの地震の集団があるとき、両者を合わせて一つの集団と見做すときb1 = b2 でない限り最早G-R則が成立しない矛盾が生じる。ただし、G-R則は対数スケールであり、データのバラつきのため、この矛盾は左程目立つものではない。 もう一つはG-R則の成立する範囲に限界が存在するという事である。例えば現在Mw9.5のチリ地震を超える規模の地震は知られていないが、G-R則がどの範囲においても直線的に成立するならば、Mw9.5を超えるはるかに大きい地震でも発生確率は0にはならない。しかし、地球は有限の大きさを持ち、あるいは周辺構造による断層サイズの制約から地震の規模にも上限 M c {\displaystyle M_{c}} が存在する筈である。 地震がまったくランダムに起こるとするG-R則に対立する概念として、特定の場所で特定の規模の地震が繰り返すとする固有地震モデルがあるが、このモデルが近似的にでも成立するような場合は、固有地震を何個も含む充分に長い期間に対するマグニチュード M {\displaystyle M} の分布は、固有地震の M {\displaystyle M} に相当する部分にピークが現れ、固有地震とそれ以外の地震の内最大のものとの間にマグニチュードギャップが生じ、固有地震を除いた小地震の部分についてG-R則が成立する。 この様な実例はほとんど無いから、固有地震説は誤りであるとする見解もあるが、そういう実例はいくつか存在するから固有地震説も無意味ではないとする見解もある。南海トラフ巨大地震などは周期性の巨大地震と考えられているが、周期性が議論されている多くのプレート境界型地震について機器観測による100年程度のデータだけでは不十分ともされる。 微小地震はノイズに埋もれて観測が困難ではあるが、 M {\displaystyle M} の小さい方にも限界があるとする説もあり、例えば松代群発地震においては M {\displaystyle M} が-0.9以下の地震は明らかにG-R則から期待されるより少ないとの見方もある。
※この「G-R則の問題点」の解説は、「グーテンベルグ・リヒター則」の解説の一部です。
「G-R則の問題点」を含む「グーテンベルグ・リヒター則」の記事については、「グーテンベルグ・リヒター則」の概要を参照ください。
- G-R則の問題点のページへのリンク