E1反応(1分子脱離反応)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 00:32 UTC 版)
「脱離反応」の記事における「E1反応(1分子脱離反応)」の解説
E1反応はイオンを経由して起こる脱離反応で、分子から1原子が脱離して生成したイオンから別のイオンが脱離し、新たな化合物ができる反応である。 ザイツェフ則ではハロゲンまたは水の脱離が律速段階であり、生成するカルボカチオンの安定性により生成する異性体(アルケン)の生成比率が決定づけられる。アルケンの置換基が第3級化合物、第2級化合物、第1級化合物と置換基の多い異性体ほど生成しやすい。これはアルキル基が多いほど超共役によりカルボカチオンが安定化するためと説明付けられている。例えば、1-ブタノールにおいて分子内脱水をすると1-ブテンではなく2-ブテンが主生成物となる(ワグナー・メーヤワイン転位)。また、ネオペンチルアルコール(2,2-ジメチル-1-プロパノール)を分子内脱水すると2-メチル-2-ブテンが得られる(ネオペンチル転位)。 ホフマン則では塩基によるプロトンの引き抜きが律速段階であり、置換基の少ない異性体(アルケン)ほど生成しやすい。これはβ位に脱離基を持つ炭素のうち置換水素の酸性度に低いものから引き抜かれてβ脱離が進行するためで、アルキル基の超共役は電子供与性であり置換アルキル基が多いものほど水素置換基の酸性度が低下するためと説明付けられている。
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