CMバンク以前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 03:19 UTC 版)
「CMバンクシステム」の記事における「CMバンク以前」の解説
当初のテレビCMは、映画用フィルムや、テロップカードのような静止画素材により制作されていた。1970年代後半頃まで、VTRやその編集機器は極めて高価であり、なおかつ一部の製品を除き複雑な編集を行う性能が不足していたからである。 フィルム制作の場合、各制作プロダクション等により出来上がったCM素材は、1本単位のマスターフィルムの形で放送局に納入された。放送局ではまず、マスターフィルムから放送用のコピーを複数(1日あたりの必要放送回数分)作成した。営業部門がCM放送順を決めたのち、送出部門がその順番に従い、スプライシングテープを用いてCM素材をつなぎ、テレシネ装置に装填した(この作業を「CM一本化」あるいは単に「一本化」と称した)。CM枠の送出時刻が来ると送出担当スタッフの操作、やがては自動番組送出システムによる制御により、フィルムがテレシネ装置を通し、ビデオ信号に変換されて再生され、放送に乗った。 この作業にはたいへんな手間と時間がかかることから、各局ともおおむね放送3日前を素材納入の締め切りとし、その間(3 - 2日)で放送日1日分の一本化作業を行っていた。1日の放送が終わると、3日後以降の放送のために、一本化したフィルムを再び素材ごとに切り離して素材管理庫に返却し、次の一本化を行うという作業を毎日繰り返していた。このため、素材フィルムがやがて劣化し、音声や映像にノイズが乗ったり、送出中のフィルムが切れて放送が途絶え、放送事故が発生したりすることもあった。 報道特別番組が急遽編成されるなどして、CM送出予定の変更を余儀なくされた場合の現場の作業は困難を極めたという。
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