BIG WAVE (サウンドトラック)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 22:13 UTC 版)
『BIG WAVE』 | ||||
---|---|---|---|---|
山下達郎 の サウンドトラック | ||||
リリース | ||||
録音 |
|
|||
ジャンル | ||||
レーベル | MOON ⁄ ALFA MOON | |||
プロデュース | ||||
チャート最高順位 | ||||
|
||||
山下達郎 アルバム 年表 | ||||
|
||||
『BIG WAVE』収録のシングル | ||||
|
『BIG WAVE』(ビッグ・ウェイブ)は、1984年6月20日山下達郎のサウンドトラック。
に発売された、解説
サーフィンを題材としたウォルター・マルコネリー監督のドキュメンタリー映画『ビッグ・ウェイブ』のサウンドトラック[注釈 1]。
A面は映画のための書き下ろしを含む自身のオリジナル曲。B面はザ・ビーチ・ボーイズなどのカヴァーで構成されたサウンドトラック。A面を全てザ・ビーチ・ボーイズのカヴァー曲で構成した自主制作盤『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』[注釈 2]と反対に、本作ではB面にザ・ビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソンに関連した楽曲が収録されている。夏に関連した楽曲が収録され、一部は『MELODIES』[注釈 3]や『FOR YOU』[注釈 4]からの再収録となっている。1984年 は自身のコンサート・ツアーに加えて竹内まりやの復帰作『VARIETY』[注釈 5]のレコーディングとも重なり、スケジュールがかなりタイトだったため、既発曲のリミックスにもかなり助けてもらったが、それでもこれまで録音した英語詞の作品を一枚のアルバムにまとめることが出来、その意義もとても大きかったと思うという[1]。
それまで英語がさほど堪能というわけではなく、もともと洋楽好きだったことから、英語の歌は耳で覚えた適当な雰囲気英語で、それでも割と発音がいいと言われていた。そのためあくまで我流の、レコードから耳覚えのある発音で英語曲を歌っていた[2]。山下はそのことが不安で不満だったことから、この際にと1か月の間、本アルバムのオリジナル曲の作詞を行ったアラン・オデイ(Alan O'Day)に歌入れに立ち会ってもらいつつ、英語の発音を徹底的に矯正してもらうことにした。当時ディレクターだった小杉理宇造は、あまりの厳しいトレーニングぶりに、もう少し抑制するように話したところ、アランは「いや。これはタツが徹底的にやってくれと言っているから、僕だってそんなにやりたくはないんだけれど、やってるんだ」と答えたという。山下はそう言った記憶はなかったが、「初めからいろんな事を指摘されたので、ならばこの際だから徹底的に自分の発音を治そうと思って、自分がそうやってアランにお願いしたのだと思う」[3][4]と回想している。その結果、発音は大幅に改善され、それ以降は安心して英語の歌が歌えるようになったという。
歌詞カードには福田一郎のアルバム解説を収載。また、アナログの初回プレス盤は同封の歌詞カードに間違いがあったため、訂正後の歌詞カードが別途添付されていた。
山下と親交の深い桑田佳祐はサザンオールスターズの9枚目のオリジナル・アルバム『Southern All Stars』に、このアルバムから受けた影響へのオマージュとして、「忘れられたBig Wave」を収録している[5]。
2024年、発売から40年経つが、ボーナス・トラックを出し尽くしてしまった事とライブや楽曲制作等スケジュールが詰まっていると言う理由で40周年記念盤の制作を断念。その代わりに6月30日放送の『サンデー・ソングブック』にて「アルバム『ビッグ・ウェイヴ』40周年記念ミニ特集」が組まれた。
映画の興業収入はイマイチでヒットしなかったが、本作は映画とは関係なく売れたと語っている。
収録曲
Side A
- THE THEME FROM BIG WAVE –ビッグ・ウェイブのテーマ– – (3'37")
-
- lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita
- 1984年4月25日大貫妙子作詞・歌の「魔法を教えて」を、新たに英語詞としたもの[6]。2012年 リリースのオールタイム・ベスト『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』[注釈 6]、2017年リリースのコンピレーション・アルバム『COME ALONG 3』[注釈 7]に、それぞれ収録された。なお、A面収録のオリジナル曲はいずれもアメリカ出身のシンガーソングライター、アラン・オデイによる英語詞となっている。 に先行シングルとして発売されていた。山下達郎作曲、
-
- JODY – (3'49")
- ONLY WITH YOU – (3'41")
-
- lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita
- ギター・インスト・ヴァージョンが現在まで『山下達郎のサンデー・ソングブック』(TOKYO FM)のオープニングとして使われている。ギター・インスト・ヴァージョンは『BIG WAVE 30th Anniversary Edition』および『山下達郎CM全集 Vol.2』に収録。後に、シングル「ターナーの汽罐車 -Turner's Steamroller-」[注釈 8]のカップリングに同曲のライブ・ヴァージョンが収録された。
-
- MAGIC WAYS – (4'45")
- YOUR EYES – (3'12")
-
- lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita
- 『FOR YOU』[注釈 4]収録曲。本作収録に際しリミックスされ、エンディングが若干短くなっている。
-
- I LOVE YOU...Part II – (2'02")
-
- lyrics by Alan O'Day, music by Tats Yamashita
- テレビ・コマーシャル用に作られた「パートI」を流用して制作されたもの。アランにその「パートI」を聴かせたところ、更にその上に新しいメロディーと歌詞をはめ込んではどうかというアイデアが出され、この歌入りヴァージョンの「パートII」が作られた。
-
Side B
- GIRLS ON THE BEACH – (2'42")
-
- Brian Wilson
- ビーチ・ボーイズの1964年 のアルバム『オール・サマー・ロング』収録曲。山下のテイクは本作以前から録音されていた作品。
-
- PLEASE LET ME WONDER – (3'04")
-
- Mike Love, Brian Wilson
- ビーチ・ボーイズの1965年ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ』収録曲。山下のテイクはシングル「スプリンクラー」[注釈 9]のB面用にレコーディングされたもの。オリジナルに従って、エンディングに“I LOVE YOU”というセリフが入っているが、1984年放送の新春放談で番組中にこの曲を聴いた大瀧詠一は「声が小さくない?」とコメントしていた。レコーディング後に2番の歌詞にオリジナルと違う箇所がある事が判明した。オリジナルの歌詞を入手した時、一から歌入れをやり直したいと申し出たが、吉田保から「歌詞の違った箇所だけ歌い直せば良い」と言われ、歌詞が違った8小節だけ歌い直しによりテープ編集されているため、その箇所だけエコーの掛かり具合が違うという。 のアルバム『
-
- DARLIN' – (3'27")
- GUESS I'M DUMB – (3'11")
-
- Russ Titelman, Brian Wilson
- アルバム『MELODIES』[注釈 3]収録曲で、ブライアン・ウィルソンの作曲、プロデュースで1965年6月 にリリースされたグレン・キャンベルのシングル曲のカヴァー。1965年2月 以降、ビーチ・ボーイズのツアーに参加しないことを表明したブライアンに代わってメンバーとして1か月ほど参加した関係で提供された作品。入手困難なレア・アイテムだったこのシングルをようやく入手したら、今度はカヴァーがやりたくなるという経緯でレコーディングされた。
-
- THIS COULD BE THE NIGHT – (4'00")
-
- Harry Nilsson
- 若き日のハリー・ニルソンによる書下ろしで、フィル・スペクターのプロデュースでモダン・フォーク・カルテットが1965年 にレコーディングした作品。当時は未発表となったが、この曲はブライアン・ウィルソンのオール・タイム・フェイヴァリットであるという記事を読んで、1978年 のアルバム『GO AHEAD!』[注釈 11]でカヴァーされた。本作では歌のやり直しと、間奏がギター・ソロからサックス・ソロに変えられるといった、いくつかの相違点があるリミックス・ヴァージョンになっている。
-
- I LOVE YOU...Part I – (2'02")
クレジット
Side A |
THE THEME FROM BIG WAVE |
|
Jun Aoyama – Drums |
Kohki Itoh – Bass |
JODY |
Tats Yamashita | – |
|
Daisuke Inoue – tenor sax solo |
ONLY WITH YOU |
Tats Yamashita | – |
|
MAGIC WAYS |
Tats Yamashita | – |
|
Jun Aoyama – drums & percussion |
Kohki Itoh – bass |
Hiroyuki Namba – rhodes & piano |
YOUR EYES |
Tats Yamashita – rhodes, percussion & background vocals |
Jun Aoyama – drums |
Kohki Itoh – bass |
Kazuo Shiina – electric guitar & electric sitar |
Chuei Yoshikawa – acoustic guitar |
Hidefumi Toki – alto sax solo |
I LOVE YOU |
Tats Yamashita | – |
|
Satoshi Nakamura – tenor sax solo |
Side B |
on |
|
All instruments played by Tats Yamashita |
except; |
Kohki Itoh | – |
|
Ryuichi Sakamoto – poly moog on “THIS COULD BE THE NIGHT” |
Motoya Hamaguchi – percussion on “THIS COULD BE THE NIGHT” |
Chuei Yoshikawa – acoustic guitar on “THIS COULD BE THE NIGHT” |
Hidefumi Toki – alto sax solo on “THIS COULD BE THE NIGHT” |
Ohno Group – strings on “GUESS I'M DUMB” |
All vocals & background vocals by Tats Yamashita |
スタッフ
SOUNDTRACK PRODUCED BY RYUZO “JUNIOR” KOSUGI & TATS YAMASHITA FOR SMILE COMPANY |
ENGINEERED BY TAMOTSU YOSHIDA |
Recording studios: CBS Sony Roppongi, Onkio Haus & ALFA Studio |
Mastering Engineer : Mitsuru “Teppei” Kasai |
Second Engineers : Masato Ohmori, Toshiro Itoh, Shigemi Watanabe |
Production Co-ordinator: Nobumasa Uchida |
ALL TRACKS ARRANGED BY TATS YAMASHITA |
ALL TRACKS ON A-SIDE WRITTEN & COMPOSED by ALAN O'DAY & TATS YAMASHITA |
THIS ALBUM DEDICATED TO DENNIS WILSON |
リリース履歴
# | 発売日 | リリース | 規格 | 品番 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1984年6月20日 | MOON ⁄ ALFA MOON |
LP
|
MOON-28019 | 初回出荷分は帯の代わりにステッカーが貼られたほか、訂正後の歌詞カードを追加封入。 |
2 | 1984年6月20日 | MOON ⁄ ALFA MOON | MOCT-28012 | カセット同時発売。アナログLPと同内容。 | |
3 | 1984年7月25日 | MOON ⁄ ALFA MOON |
CD
|
38XM-3 | 初CD化。 |
4 | 1986年12月21日 | MOON ⁄ ALFA MOON |
CD
|
32XM-29 | 価格変更に伴う品番改定による再発。 |
5 | 1992年11月10日 | MOON ⁄ MMG |
CD
|
AMCM-4123 | 品番改定によるアルファ・ムーン盤の再発(リマスター盤)。 |
6 | 1999年6月2日 | MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN |
CD
|
WPCV-10021 | 品番改定によるエム・エム・ジー盤の再発。 |
7 | 2014年7月23日 | MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN |
CD
|
WPCL-11930 |
|
8 | 2014年8月20日 | MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN |
2LP
|
WPJL-10014/5 |
|
9 | 2025年6月25日 | MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN |
LP
|
WPJL-10259 |
|
10 | 2025年6月25日 | MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN |
CT
|
WPTL-10008 |
|
脚注
注釈
- ^ Pineapple Boys『BIG WAVE』(LP:MOON-28041)も同年発売。
- ^ 『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』 1972年発表 SURFIN' RABBIT RECORDS LP:SRR-0001
- ^ a b c 『MELODIES』 1983年6月8日 発売 MOON ⁄ ALFA MOON LP:MOON-28008
- ^ a b c 『FOR YOU』 1982年1月21日 発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8801
- ^ 竹内まりや『VARIETY』 1984年4月25日 発売 MOON ⁄ ALFA MOON LP:MOON-28018, CT:MOCT-28011
- ^ a b 『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』 2012年9月26日 発売 MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN 4CD:WPCL-11201/4【初回限定盤】, 3CD:WPCL-11205/7【通常盤】
- ^ a b 『COME ALONG 3』 2017年8月2日 発売 MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN CD:WPCL-12690
- ^ 「ターナーの汽罐車 -Turner's Steamroller-」 1991年8月25日 発売 MOON ⁄ MMG SCD:AMDM-6040
- ^ 「スプリンクラー」 1983年9月28日 発売 MOON ⁄ ALFA MOON 7":MOON-710
- ^ 「高気圧ガール」 1983年4月23日 発売 MOON ⁄ ALFA MOON 7":MOON-706
- ^ 『GO AHEAD!』 1978年12月20日 発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8037
出典
- ^ 山下達郎「解説」『BIG WAVE 30th Anniversary Edition』、MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN、3-4頁、2014年。WPCL-11930。
- ^ “山下達郎 100Qインタビュー Q1-Q25”. チケットぴあ (2011年8月1日). 2013年4月22日閲覧。
- ^ “アラン・オデイ追悼 Part 1”. 山下達郎のサンデー・ソングブック. 第1077シリーズ. 2 June 2013. JFN. TOKYO FM.
- ^ “アラン・オデイ追悼 Part 2”. 山下達郎のサンデー・ソングブック. 第1078シリーズ. 9 June 2013. JFN. TOKYO FM.
- ^ 山下達郎の超名盤『Big Wave』が再発!サザン桑田にも影響与えた3つの大きな特徴とは?ガジェット通信 2014年7月23日 2020年10月7日閲覧。
- ^ NHK-FMの番組「山下達郎ポップス講座 第5夜 –山下達郎、大貫妙子によるヒット曲作りの実践–」(1983年1月5日 放送)で、この曲の制作過程が放送された。
- ^ “Nulbarich新曲「MAGIC WAYS」山下達郎の楽曲を再解釈、バンド初のカバー曲”. FASHION PRESS. 株式会社カーリン (2022年8月26日). 2023年6月3日閲覧。
外部リンク
- Warner Music Japan
-
- 山下達郎「BIG WAVE」 – DISCOGRAPHY
- 山下達郎 OFFICIAL SITE
-
- BIG WAVE – Discography ALBUM MOON/WARNER
- その他
- BIG_WAVE_(サウンドトラック)のページへのリンク