AM-FM方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 21:25 UTC 版)
和差方式 右・左の差信号で38kHzの副搬送波を平衡変調して副信号とする。その信号と19kHzのパイロット信号とを右・左の和信号に多重して放送の搬送波を変調する。ステレオを再生する場合は、19kHzのパイロット信号を2逓倍し38kHzの副搬送波を生成することで副信号をAM復調してL-R信号を再生し、FM復調した、主信号であるL+R信号との間で和差を取ることにより左右を分離する。送信側で差信号を平衡変調した結果FM変調のスペクトルには38kHzの副搬送波は含まれておらず、受信側で19kHzのパイロット信号を頼りに生成する必要がある。送信側で取り除いた副搬送波を受信側で生成するという手間を踏む理由は、FM変調の際に変調度のほとんどを音声信号に割り当てるための工夫である(副搬送波のパワースペクトルを変調に割り当てない)。こうすることでS/N比が高い送信波が得られる。日本におけるFMステレオラジオ放送方式として用いられている。 スイッチング方式 38kHzのスイッチング信号により、左右の信号を切り替えてコンポジット信号を生成する。再生する場合はこの逆で、コンポジット信号を38kHzのスイッチング信号で同期を取って左右に分離する。原理上は同期検波と同じである。ここで、スイッチング方式により得たコンポジット信号を分析すると、L+Rの信号と、L-Rの包絡線で38kHzを変調したDSB波との合成であることがわかる。したがって、スイッチング方式で変調したコンポジット信号は和差方式でも再生することができる。また、和差方式によりコンポジット信号を生成する際に、副信号を特定のレベルに合わせればスイッチング方式のコンポジット信号と等価な信号が得られる。したがって和差方式で変調したコンポジット信号をスイッチング方式で再生することも可能になる。実際にはスイッチング方式の回路の方が構成が簡単なため、FMステレオの再生はスイッチング方式またはスイッチング方式に準じる同期検波が使われる。
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