4 B 10とは? わかりやすく解説

三菱・4B1型エンジン

(4 B 10 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/29 22:48 UTC 版)

ワールドエンジン > 三菱・4B1型エンジン
三菱・4B1型エンジン
生産拠点 三菱自動車工業
製造期間 2005年9月 - 現在
タイプ 直列4気筒DOHC16バルブ
排気量
  • 1.8 L
  • 2.0 L
  • 2.4 L
テンプレートを表示
4B11 NA (ギャランフォルティス)
4B11 NA (ギャランフォルティススポーツバック)

三菱・4B1型エンジンとは、三菱自動車工業が開発・製造する自動車向け4ストローク直列4気筒エンジンの系列名である。

4B104B114B12は、排気量や性能は異なるものの、全て「ワールドエンジン」として開発されたため、特にそれぞれの型を言い分ける必要がない場合、ここでは便宜的に4B1型エンジンもしくは単純に4B1と呼ぶ。

概要

本系列の原型となったワールドエンジンは、提携関係にあった日本の三菱自動車工業、韓国の現代自動車、ドイツ・米国のダイムラー・クライスラー(2021年現在DCの企業としての現況はダイムラーAGだが、完全にクライスラー寄りの本話題においてはステランティスのほうが近い)により共同設立されたグローバル・エンジン・アライアンス英語版により設計された。そのため、同様にワールドエンジンの設計を受け継いだエンジンは、三菱(4B10、4B11、4B12)のみならず、ヒュンダイ・キアヒュンダイ・シータエンジンを参照)及びクライスラーにも存在する。

もともとワールドエンジンは、共同開発や部品の共有化による開発費や製造ライン維持費の削減が目的であったが、全てを共有することは考えられていなかった。共用箇所はエンジンの基礎的な部品のみであり、市場の需要に対して各社が自由にエンジンの性能を決定出来るだけの余地が残されていた。なお、ダイムラー・クライスラーのワールドエンジンに搭載される吸気バルブ、排気バルブの製造は三菱が行っている[1]

製造は、2023年現在、日本では全て滋賀県湖南市にある京都製作所滋賀工場で行われている。

このエンジン系列はマレーシアプロトンにも供給されており、プロトン・インスピラ (≒ランサー) に4B10と4B11が採用されている。

4B10

ボアよりもストローク(行程)が短いショートストロークエンジンである。

日本では2009年12月にマイナーチェンジしたギャランフォルティスで初めて4B10が搭載されたが、海外ではそれより前からランサーに搭載されている。

諸元
シリンダー配置 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC
排気量 1,798 cc
ボア 86 mm
ストローク 77.4 mm
圧縮比 10.5:1
燃料噴射装置 ECI-MULTI (電子制御燃料噴射)
最高出力 102 kW (139 PS) / 6,000 rpm
最高トルク 172 N⋅m (17.5 kgf⋅m) / 4,200 rpm

搭載車両

4B11

4B11はギャランフォルティス(輸出名:ランサー)などに搭載される自然吸気(NA)モデルと、ランサーエボリューションXランサーエボリューション ファイナルエディション、ギャランフォルティス・ラリーアート(輸出名:ランサーラリーアート)、ギャランフォルティススポーツバック・ラリーアートに搭載されるターボモデルがある。

NAモデルの4B11と4B11ターボは、外見こそほぼ同じであるが、ターボモデルはランサーエボリューションに求められる性能を満たす必要があったため、使われている多くの部品は設計や工法が異なり、軽量化・高剛性化されており、自然吸気のものとは別物と言っていい程の差異がある[2]

ただし、ギャランフォルティスとスポーツバックのラリーアートグレードに搭載される4B11ターボは、ランサーエボリューションXに搭載されているエンジンと共通であるが、ターボチャージャーをツインスクロールからシングルスクロールに変更し、ラジエーターやエアクリーナー、インタークーラーの形状とサイズの最適化を図ったものである。ランサーエボリューション用の4B11ターボは、それまでのランエボに搭載されていた4G63と比較し、最高出力は206kWで同じながら、トルクが太くなり、レスポンスも向上し[3]、エンジン本体で12.5kgの軽量化[3]と、エンジンの低重心化を可能とした。

プロトン・インスピラの4B11エンジン
2010年式ランサー・ラリーアートスポーツバックの4B11ターボエンジン
諸元
過給機の有無 なし ターボ
シリンダー配置 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC
排気量 1,998 cc
ボア 86 mm
ストローク 86 mm
圧縮比 9:1
燃料噴射装置 ECI-MULTI
最高出力
  • 113 kW (154 PS) / 6,000 rpm
  • 87 kW (118 PS) / 4,500 rpm[注釈 1]
最高トルク
  • 198 N⋅m (20.2 kgf⋅m) / 4,250 rpm
  • 186 N⋅m (19.0 kgf⋅m) / 4,500 rpm[注釈 1]
  • 422 N⋅m (43.0 kgf⋅m) / 3,500 rpm[注釈 6]
  • 429 N⋅m (43.7 kgf⋅m) / 3,500 rpm[注釈 4]
  • 343 N⋅m (35.0 kgf⋅m) / 3,000 rpm[注釈 5]

搭載車両

4B12

4B1の中では最初に発売されたエンジンで、アウトランダーの2.4 LモデルやデリカD:5に搭載。ボアは4B10、4B11から2mm拡張され、ストローク(行程)の長いロングストロークエンジンである。実質的なワールドエンジンの成果とされており、4B11と4B10はこのエンジンをもとにボアとストロークを縮小させたものである。

2018年にマイナーチェンジしたアウトランダーPHEVにはアトキンソンサイクル化した4B12が搭載された。発電能力を重視した仕様で出力とトルクの最高発生回転数が同一(4,500rpm)という珍しいスペックとなっている。

諸元
シリンダー配置 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC
排気量 2,359 cc
ボア 88 mm
ストローク 97 mm
圧縮比
燃料噴射装置 ECI-MULTI
最高出力
  • 125 kW (170 PS) / 6,000 rpm
  • 94 kW (128 PS) / 4,500 rpm[注釈 1]
最高トルク
  • 226 N⋅m (23.0 kgf⋅m) / 4,100 rpm
  • 199 N⋅m (20.3 kgf⋅m) / 4,500 rpm[注釈 1]

搭載車両

脚注

注釈

  1. ^ a b c d e f アウトランダーPHEV
  2. ^ ランサーエボリューションX MC前用
  3. ^ ランサーエボリューションX MC後用
  4. ^ a b ランサーエボリューション ファイナルエディション用
  5. ^ a b ギャランフォルティス・ラリーアート、ギャランフォルティススポーツバック・ラリーアート用
  6. ^ ランサーエボリューションX用

出典

  1. ^ ダイムラー・クライスラー向け「ワールドエンジン」搭載用エンジンバルブを初出荷』(プレスリリース)三菱重工業、2005年9月1日。オリジナルの2017年7月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170721115247/http://www.mhi.co.jp/news/sec1/200509014388.html2007年11月8日閲覧 
  2. ^ 『モーターファン別冊・ランサーエボリューションXのすべて』、三栄書房、2007年、43頁、ISBN 978-4-7796-0308-2 
  3. ^ a b 加藤佳彦、戸原健太、明保宏美「新開発 4B11型ターボエンジン」(pdf)『三菱自動車 テクニカルレビュー』第20巻、三菱自動車工業株式会社、2008年、28-29頁、 オリジナルの2012年7月7日時点におけるアーカイブ、2020年3月1日閲覧 

関連項目

外部リンク


4B10

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 01:48 UTC 版)

三菱・4B1型エンジン」の記事における「4B10」の解説

諸元シリンダー配置直列4気筒DOHC16バルブMIVEC 排気量1,798 cc ボア86 mm ストローク77.4 mm 圧縮比10.5:1 燃料噴射装置ECI-MULTI (電子制御燃料噴射) 最高出力102 kW (139 PS) / 6,000 rpm 最高トルク172 N⋅m (17.5 kgf⋅m) / 4,200 rpm ボアよりもストローク行程)が短いショートストロークエンジンである。 日本では2009年12月マイナーチェンジしたギャランフォルティス初めて4B10が搭載されたが、海外ではそれより前からランサー搭載されている。

※この「4B10」の解説は、「三菱・4B1型エンジン」の解説の一部です。
「4B10」を含む「三菱・4B1型エンジン」の記事については、「三菱・4B1型エンジン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「4 B 10」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「4 B 10」に関係したコラム

  • FXやCFDの三角形移動平均とは

    FXやCFDの三角形移動平均とは、移動平均の移動平均のことです。つまり、移動平均値を算出して、さらにその数値の移動平均値を算出します。なお、移動平均には単純移動平均を用います。三角形移動平均は、三角移...

  • FXのレバレッジの計算方法は

    FX(外国為替証拠金取引)において、通貨ペアの売買の際に必要になるのが証拠金です。レバレッジは、証拠金と、通貨ペアの価格、通貨数により計算することができます。FXのレバレッジの計算方法は、次のような式...

  • FXのチャート分析ソフトMT4で1つのチャート画面に2つの通貨ペアを表示するには

    FX(外国為替証拠金取引)のチャート分析ソフトMT4(Meta Trader 4)では、1つのチャート画面に1つの通貨ペアのチャートが表示できます。2つの通貨ペアのチャートを見比べたい時には、2つのチ...

  • FXの売買注文時のロット、枚とは

    FX取引では、通貨ペアや通貨数、売りか買いかなどを指定して売買注文を行います。そのうち通貨数は、1万通貨、2万通貨というように万単位で注文するのが一般的になっています。しかし、FX業者の中には、注文数...

  • 株365のFTSE100証拠金取引と為替相場との関係

    株365のFTSE100証拠金取引と為替相場とはどのような関係にあるでしょうか。ここでは、FTSE100証拠金取引の値動きのもととなるFTSE100と主要通貨のチャートを見比べてみます。次の図は、FT...

  • 株365の株価指数に採用されている銘柄

    株365の銘柄の価格は、株価指数に採用されている銘柄の価格をもとにして算出されます。株価指数に採用されている銘柄はその国を代表するような優良企業であることが多く、また、取引高も多く市場から注目されてい...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「4 B 10」の関連用語











4 B 10のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



4 B 10のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの三菱・4B1型エンジン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの三菱・4B1型エンジン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS