2013年のブラックホールへの最接近
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「G2 (星雲)」の記事における「2013年のブラックホールへの最接近」の解説
G2は、近点ではブラックホールから0.74m/s2の重力を受けると考えられる。これは地球の表面重力の約7.6%である。ある程度の広がりを持つガス雲であるG2は、近点付近においてブラックホールに十分引き寄せられ、一部または全部が降着円盤を形成し、次第にブラックホールに吸い込まれると考えられている。それを裏付けるとおり、接近前ブラックホールの重力によって変形をきたしていることが確認されている。G2は2013年9月8日にブラックホールに最接近すると考えられており、その数ヶ月前から引き伸ばされるように著しく形を変え、ブラックホールに吸い込まれる方向へと軌道を変化させると考えられている。仮にそうであれば、G2はすぐにはブラックホールに吸い込まれないため、いて座A*の活動はそれから数年から数十年かけて活発化すると考えられている。もしそうであれば、降着円盤から最初の10年間で1041Jものエネルギーが放出されるため、地球から近場にある超大質量ブラックホールを詳細に観測することができる。これは、太陽質量の431万倍という超大質量の天体とはいえ、非常に小さな天体であるブラックホールに物質が降着する非常に珍しい機会であり、地上では超大型望遠鏡VLTとW・M・ケック天文台、宇宙からはXMM-Newton、インテグラル、スウィフト、チャンドラ、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡がこの天文現象を観測する予定である。また、運動方向と垂直の方向に圧縮されるために、最接近時からの約1年間で太陽光度の50倍に明るくなると考えられている。 2013年7月頃の観測では、G2は長さ1600億kmという長さにまで引き伸ばされている。前方部分は既に近点を通過し、高速で遠ざかっている。その一方で、後方部分はまだブラックホールに向かって接近中であり、通過には1年前後かかるといわれている。
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