1976年の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 18:54 UTC 版)
1976年のIAU総会において、地球軌道の実測値から日心重力定数 GMs に基づき算出される値として定義づけられた。すなわち、万有引力定数 G と太陽質量 Ms との積(万有引力定数#万有引力定数と質量の積)である日心重力定数の 1/3 乗(3 乗根)に比例する値 A として、 A 3 = ( D k ) 2 G M s {\displaystyle A^{3}=\left({\frac {D}{k}}\right)^{2}GMs} と定められた。 ここで k はガウス引力定数と呼ばれる定義定数(実測値ではなく、約束事として決められた固有の値)で k = 0.01720209895 である。また D は 1 日の時間の長さ(86400 s)を表す。 これは、地球の替わりに「仮想的な粒子」(以下テスト粒子)を置いて、その運動を基準としていると解釈できる。いま、テスト粒子が太陽からのニュートン力学的な重力以外の力を受けず、重さは無視でき、その軌道は完全に円であるとする。この時テスト粒子は、太陽に近ければ強い力を受けて速く公転し、遠ければ弱い力を受けてゆっくりと公転する。そうした軌道のうち、公転周期 P が P = (2π/k) D = 365.2568983... × D となる円軌道の半径が 1 天文単位となる。 このとき k の値はテスト粒子が動く角速度をラジアン/日単位で表しており、上式はケプラーの第3法則の関係 A3 (2π/P)2 = GMs に他ならない。この公転周期 P はガウス年と呼ばれ、地球の実際の公転周期である恒星年に近いものとなるよう定められているため、結果としてこの定義においても天文単位は地球と太陽の平均距離に近いものとなる。 こうした定義の変更により、地球の軌道長半径は 1 au ではなくなった。現在の暦で地球の軌道を楕円軌道として近似したときの値はおよそ 1.00000261 au となる。
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