19世紀末から現代まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 15:17 UTC 版)
「トウシューズ」の記事における「19世紀末から現代まで」の解説
ピエリーナ・レニャーニ(1896年) アンナ・パヴロワ(1912年) その後、バレエの技術的な発展と共に、トウシューズは安定感と強度の高い形状へと変化していった。具体的には、ポワントで立った時に床と接する平らな面(プラットフォーム)が広がり、足指を包む部分(ボックス)も硬くなっていった。例えば、19世紀末にロシアで活躍したピエリーナ・レニャーニは、現代のトウシューズにかなり近い形状の靴を履いている。レニャーニが用いていたトウシューズは、ロシア帝室バレエがイタリアから輸入していたもので、白い子山羊の皮でできており、爪先にはコルクや木屑を固めたものが使われていた。このトウシューズは、1930年代まで使用されていたことが確認されている。アンナ・パヴロワら20世紀初頭前後のダンサーも、同様に頑丈なトウシューズを使用していたが、記録写真においては、爪先が実際よりも細く見えるような画像編集を施している例が多数見受けられる。 1950年頃には、トウシューズの強度は現在とほぼ変わらない程度になった。また、20世紀以降、バレエダンサーが演じる役柄が多様化したことに伴い、ポワント技法による表現の幅も広がっていった。妖精のような浮遊感だけではなく、例えば『ロメオとジュリエット』のような作品ではヒロインの生々しい感情を表現し、ウィリアム・フォーサイスの作品においては床の上に鋭く足先を突き刺す動作がスピード感や不安定感を表すなど、現代ではポワント技法が作品ごとに様々な意味合いで用いられている。
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