高木叙子の説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 08:53 UTC 版)
「麟 (織田信長の花押)」の記事における「高木叙子の説」の解説
また、佐藤進一は「麟」の花押について信長が「自らの力によって」平和社会を実現しようとしたものである可能性を指摘しているが、この「自らの力によって」という部分に異議を唱えたのが高木叙子である。伝説上、麒麟は聖人が現れた際に姿を見せる聖獣であるが、高木によれば、この聖人とは次期将軍候補の足利義昭(義輝の弟)のことを指すという。 この高木の解釈は次のようなものである。後年に生じた信長と義昭の対立、あるいは信長による覇権の確立といった結末から逆算して、この花押に全国統一の野望のような含意があったと解釈するのは妥当ではない。むしろ、信長がこの花押を使用し始めたのは、義昭から上洛支援の要請を受けた直後であるのだから、義昭こそが信長の「待望の聖君」であったと考えるべきである。そして、義昭を君主として推戴して室町幕府の政治に関わろうとした信長の意図をこの花押は示しているという。 近年では信長の印章「天下布武」にも全国統一のような意図はなかったと考えられている(→信長の政権構想)。このような研究の流れを受けて、足利義昭による理想社会の実現という上記の高木説について、金子拓も説得力のあるものだとして支持している。
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