高位分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 09:25 UTC 版)
「シブリー・アールキスト鳥類分類」の記事における「高位分類」の解説
伝統的な形態分類に比べ、シブリー・アールキスト鳥類分類は劇的に異なる分類を行った。 しかしDNA-DNA分子交雑法は、現在のシーケンス分析が利用する遺伝子座ごとの情報を利用できず遺伝子距離のみを利用するため、利用できる情報が少ない。またこのことと計算機技術の制約により、シブリーらが系統樹の再構成に用いたのは、現在から見れば原始的な手法であるUPGMAだった。 そのためSibleyらの結果は、部分的には評価できる点もあるが、実際の系統から見ると間違いが多かった。特に、UPGMAの使用によるバイアスとして、進化速度が速い内部系統が除外された側系統が随所に現れていた(ダチョウ目など)。 個々の目については次のようになっている。 コウノトリ目に、ペンギン目、タカ目、チドリ目、カイツブリ目、ペリカン目、アビ目、ミズナギドリ目を内包させた。この拡大されたコウノトリ目は、現在「water birds」系統と呼ばれる大きな単系統を含んでいた。しかし、他にも多くの雑多な系統を含んでおり、単系統ではなかった。根からの遺伝子距離が短いグループが近縁としてまとめられるという、UPGMAでは回避しにくい間違いが起こっていた。 アマツバメ目から、ハチドリ目を独立させた。これらは従来の目もシブリーらの目も単系統で、階級を変更したにとどまった。 ブッポウソウ目から、ヤツガシラ目とサイチョウ目を分割した。これらは実際に別系統だった。ただし、やはり別系統のオオブッポウソウ科は残されていた。 キツツキ目から、キリハシ目を独立させ別の小綱に属させた。しかし実際は、これらは姉妹群だった。 キジ目から、ホウカンチョウ目を独立させた。しかし実際は、ホウカンチョウ目はキジ目の中の基底的な側系統だった。 ツル目から、ミフウズラ目を独立させ単型のミフウズラ小綱とした。これは実際に別系統だったが、チドリ目に内包される。シブリーらの結果はミフウズラ科の進化速度が非常に速かったためで、彼らもこの可能性に気づいており、他の目(ただし彼らが想定したのはツル目だが)に含まれる可能性について言及している。 カッコウ目から、エボシドリ目を独立させた。これは実際に別系統だった。ただし、やはり別系統のツメバケイ科は残されていた。 ツメバケイ科がツル目からカッコウ目に移された。実際は、ツメバケイ科はいずれとも近縁ではなかった。 ヨタカ目とツル目エボシドリ科が、フクロウ目にまとめられた。実際は、これらは特に近縁ではなかった。 目より上の分類では、シブリーらが新たに提唱したブッポウソウ小綱、スズメ小綱、フクロウ上目、ブッポウソウ上目、スズメ上目は、いずれも単系統ではなかった。ただしキジカモ小綱は単系統であり、現在広く受け入れられている。
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