飛行機の出現前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 04:10 UTC 版)
航空機の軍事利用は熱気球から始まった。1794年6月26日、ベルギーのモーボーグに展開していたフランス陸軍が敵の情勢を偵察するために気球を利用した。これが人間が乗った気球が戦争に使用された最初の例である。 19世紀に入ると気球が軍隊で広く利用されるようになった。有名な例では、1861年4月から始まったアメリカの南北戦争がある。同年6月18日、気球「エンタープライズ」は高度150 mまで上がり、電信により偵察情報を地上に送った。また、ブラジルでは、三国同盟戦争(1864年-1870年)で気球を利用して、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの連合軍は、パラグアイの制圧に成功した。一方イギリスでも、1880年6月24日に最初の気球部隊を編成し、その後ベチュアナランドでの軍事作戦に投入した。 気球の原理を生かして、より大型化するとともにエンジンをつけて操縦を行えるように、飛行船が登場した。1900年7月2日、ドイツのツェッペリンによって飛行船フェルディナント・フォン・ツェッペリン「LZ1」が初飛行した。ドイツでは、飛行船が軍事作戦に有効であるとして、ツェッペリンに軍用飛行船を発注し、1906年10月9日に初飛行した「LZ3」は、1909年6月20日にドイツ陸軍に引き渡されて、世界初の軍用飛行船となった。ドイツ陸軍ではこの飛行船を「Z1」と呼んだ。飛行船は気球に比べて活動範囲や使用範囲は大幅に拡大したが、飛行機の実用化に伴い、その存在価値は低下していった。
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