静脈奇形(Venous Malformation)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 14:22 UTC 版)
「血管奇形」の記事における「静脈奇形(Venous Malformation)」の解説
スポンジ状(海綿状)あるいは嚢(のう)胞状の拡張した血管腔で、大きさや発生部位は様々である。症状がない場合もあるが、徐々に増大して周辺組織を圧迫したり、神経の圧迫による疼痛や外傷による出血、血栓形成による疼痛をおこすことがある。また、大きな病変では美容上および機能的に問題となり得る。 四肢の静脈奇形の特徴として、 青色または紫色の呈する(皮膚表面の場合) 病変部を下垂させたり、中枢側を駈血帯などで圧迫すると膨張が増強する 病変部を心臓の高さより上方に挙上すると、縮小または軟化する 理学的所見および画像所見上、動静脈短絡を認めない などがあげられる。また、しばしば周囲の静脈拡張、深部静脈の異常や石灰化(静脈石)を伴う。静脈石とは、局所で凝固系の異常があったり血流が滞ることにより血栓が石灰化したもので、一度できると消失することはない。静脈奇形の保存的治療にはサポーターなどによる圧迫が用いられ、血栓形成による疼痛には消炎鎮痛剤が有効。症状によって、手術や塞栓術、硬化療法やレーザー治療などが行われるが、外科的治療の場合には病変を完全に摘出する必要があり、不完全な摘出手術をおこなうと残った異常血管が拡張したり、創傷治癒の過程で異常血管が新生して、病変の再発をきたす可能性がある。 従来『海綿状血管腫』と称されていたものは、最近の分類ではこの『静脈奇形』に分類される。これに関連する症候群として、『青色ゴムまり様母斑症候群』『Klippel-Trenaunay-Weber症候群』などがある。
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