青いカーバンクルの謎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 14:36 UTC 版)
原題「The Adventure of the Blue Carbuncle」のCarbuncle(カーバンクル)は、丸く研磨された赤い宝石のこと、もしくはガーネットを指す。ガーネットと呼ばれる宝石の中で、青色をしたものは当時発見されていなかったため、この宝石の正体を巡ってさまざまな説が出されている。ガーネットではなくスター・サファイアであるとする説、ホームズが「40グレーンの炭素の結晶」と説明したことなどからブルー・ダイヤモンドであるとする説、他の青色の鉱物をガーネットと称した・誤認したとする説、緑色のガーネットのことだとする説、青いガーネットが世界で1つだけ存在していたのだとする説などである。また、この青い宝石は中国のアモイ川(Amoy River)で発見されたと説明されるが、アモイという地名はあってもアモイ川は存在しないとする指摘や、宝石の質量の単位にカラットではなくグレーンを使っているのは誤りであるという指摘もある。 このように青いカーバンクルの謎に関してはさまざまな議論が行なわれてきたが、定説となっているものはなく、ドイルが何を想定していたのかは謎のままである。ちなみに、ピーターソンが「ガラスが簡単に切れる」と知らせていることから、カットされ角ばった硬度の高い宝石であることは間違いないが、ダイアモンドを使ってもガラスに傷はついても切れるわけではない。 タイトルを「青い紅玉」とする日本語訳に対しては、紅玉はルビーを指すので間違いであり、青い紅玉、という色の組み合わせもおかしいという指摘があるほか、近年では「青いガーネット」と訳されることが多い。1953年に新潮文庫から刊行された延原謙の翻訳では「青い紅玉」としていたが、嗣子の延原展により訳の修正が行なわれて改版となった際、「青いガーネット」に変更されている。2010年に創元推理文庫から刊行された深町眞理子の翻訳では、「青い柘榴石」が採用された。
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