電気生理学的活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 09:50 UTC 版)
プルキンエ細胞は2つの異なる種類の電気生理学的活動を示す: 単純スパイクは17~150Hzの頻度で、自発的ないし顆粒細胞から平行線維を介した刺激により発火している。 複雑スパイクは急速な発火であるが一つのまとまった波として見ると多くとも1~2Hzの頻度でしか生じない。この発火は登上線維の興奮によりカルシウムを介して行われる。 プルキンエ細胞は自発的な電気生理学的活動を示すが、これはナトリウム依存的あるいはカルシウム依存的な発火によるものである。特にプルキンエ細胞の電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.6)では通常の神経細胞のそれとは異なり、発火後の不活性状態が完全には起こらず、しかも閾値が低く不活性化してもすぐに静止状態に戻る性質があるので活動電位が終了したとしても脱分極ができるので連続発火が可能となっている。プルキンエ細胞に存在するカルシウムチャネルは「プルキンエ:Purkinje」の頭文字をとってP型カルシウムチャネルと呼ばれるが、これもプルキンエ細胞の機能に大きく関わっているとされる(なおP型カルシウムチャネルは、Q型カルシウムチャネルと同じ遺伝子CACNA1Aに由来するのでしばしばP/Q型カルシウムチャネル〔Cav2.1またはα1Aチャネル〕と総称される)。伊藤正男らによると、平行線維と登上線維をほぼ同時に組み合わせて刺激すると、一定期間平行線維とプルキンエ細胞間のシナプス伝達効率が低下するという長期抑圧(LTD: long term depression)が観察される。これは小脳での運動学習機構の基礎とされ、登上線維からの刺激を誤差信号とする「教師あり学習」の仮説(Marr-Albus-Ito仮説)の根拠にもなっている。 プルキンエ細胞の樹状突起は内因性カンナビノイドを放出して一時的に興奮性・抑制性のシナプスを下方制御(ダウンレギュレート)することが示唆されている。
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