電子の磁気モーメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 06:05 UTC 版)
「磁気モーメント」の記事における「電子の磁気モーメント」の解説
電子やその他の多くの素粒子は、それぞれ固有の磁気モーメントを持つ。この性質は量子力学によって記述され、粒子が持つ角運動量(スピン角運動量)と関係付けられる。これらの磁気モーメントはマクロな効果としての物質の磁性や電子スピン共鳴などの現象を引き起こす。 電子の磁気モーメントは以下のように表される。 m S = − g S μ B S ℏ . {\displaystyle \mathbf {m} _{\text{S}}=-{\frac {g_{\text{S}}\mu _{\text{B}}\mathbf {S} }{\hbar }}.} ここで、μB はボーア磁子、S は電子のスピン、 ℏ {\displaystyle \hbar } は換算プランク定数である。gS は電子スピンのg因子と呼ばれ、ディラック方程式から厳密に2と予言されるが、実際には量子電磁力学による補正が加わるために僅かにずれる。このずれは異常磁気モーメントと呼ばれる。 上の等式に現れる負符号は、電子の磁気モーメントとスピンについてのベクトルが反平行であることを意味している。このことは、次のような古典的な描像によって解釈される。もし、スピン角運動量がある軸の周りを回る電子質量によって生じるとすれば、この回転運動によって生じる環状電流は逆向きに流れる。これは電子が負の電荷を持つためである。このような環状電流はスピンに対して反平行の向きに磁気モーメントを生成する。同様に考えると、正電荷を持つ陽電子(電子の反粒子)の場合は、磁気モーメントはスピンと平行になる。
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