雨粒の大きさと形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:36 UTC 版)
雨粒の大きさは、通常は直径1mm前後で、概ね直径0.2 - 6mmの範囲内にある。小さなものほど落下速度が小さく、特に直径0.5mm未満の雨粒が一様に降る状態の雨を霧雨(きりさめ)といい、ほとんど浮遊しているように見えるとされる。一方、直径6mmを超えるような大きな雨粒は分裂しやすく観測されにくい。 雨が降ってくるとき、雨粒の密度は、1m3あたり10個 - 1,000個程度である。雨粒の大きさと密度の関係は、「マーシャル・パルマーの粒径分布」として表せる(マーシャルおよびパルマー、1947年)。実際には全ての場合に適用できる訳ではないが、大きな粒ほど密度が低い、おおよそ指数関数的な分布になっている。 雨粒の落下速度は、雨粒の大きさにほぼ比例する。相当半径0.1mm(直径0.2mm)では終端速度70cm/s、0.5mm(直径1mm)では4m/s、1mm(直径2mm)では6.5m/sである。2mm(直径4mm)では9m/sに達するがこれより大きくなっても速度はほとんど変わらず、約9m/sが最大値である。 雨粒が空気中を落下するとき、雨粒が半径1mm(直径2mm)より小さい場合は、表面張力のためにほぼ球形をしている。これより大きくなると、表面張力が小さくなる代わりに空気抵抗が増し、雨粒の底面が平らなまんじゅうのような形状となるうえ、落下時に振動し始めて不安定となり、分裂しやすくなる。大きくなるほど壊れやすいため、実際に地上で観測されている雨粒は、最大でも直径8mm程度までである。 雨がしばしば涙滴形で描かれているのは、木の葉の先から露が落ちるときや、窓ガラスを伝う水滴が涙形をしているためである。1951年に北海道大学の孫野長治博士が空中を落下する雨粒の写真撮影に成功し、「まんじゅう形」を世界で初めて確認した。
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