陰圧と被覆材の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/02 18:16 UTC 版)
これら3つの技法全てにおいて、一度被覆材が密閉されると、使用される機器に応じて持続的あるいは間欠的な陰圧をかける吸引ポンプがセット可能となる。VAC療法においては通常の治療レベルは-125mmHg であり、痛みが激しい場合には減らしてよい。バイオドーム・テクノロジーの場合にはより低い-75mmHgが用いられる。間欠法では吸引は設定された間隔で行われる。陰圧閉鎖療法の機器は毎日決まった時間使われることもあり(任意の1回で6から8時間、等)、1日最低22時間に保たれる場合もある。複数の創傷や極端に大きな創傷の患者には1台以上の機器が使用可能である。それぞれの陰圧閉鎖療法の機器により、異なった安全特性と推奨適応症が存在する。 使用される被覆材の種類は創傷の種類、臨床対象と患者による。浅かったり変則的な傷で痛みに敏感な患者、創傷が皮下に潜っていたり広範囲にわたっていたり穿孔がある場合などは、ガーゼが使用される。一方、傷の形状にフォームがぴったりと当てはまり、組織の肉芽形成や傷の縮小が目的である場合にはフォーム材が適している。豚による実験では、ガーゼはフォーム材より肉芽の形成効果が薄いという結果が出ている。Journal of Woundsの2007年版の研究によれば、フォーム材は滲出液や感染物質の排除が容易である一方、ガーゼはこれらを吸収し創床と接触し続ける。加えてフォーム材をVAC療法で使用した場合、マイクロストレイン(肉芽形成と創傷の縮小を促す作用)を引き起こす科学的な証拠が認められたのに対し、ガーゼを使用した場合ではそれを裏付ける証拠は得られなかったという。マサチューセッツ工科大学の2004年の研究では、VAC療法独自の作用メカニズムとして、肉芽組織形成をもたらすマイクロストレインについて特に検証が行われた。ある陰圧閉鎖療法機器のメーカーは、ガーゼでもフォーム材と同様に創傷の大きさと滲出液を減じて組織の形成を促す効能があると主張した。 しかしながら、VAC療法のみが次に挙げられる作用メカニズムを有していた。すなわち肉芽組織形成の促進;滲出液と感染物質の排除;浮腫の軽減;及び濯流の刺激である。
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