陰嚢水腫・乳房肥大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:37 UTC 版)
「八丈小島のマレー糸状虫症」の記事における「陰嚢水腫・乳房肥大」の解説
陰嚢水腫(いんのうすいしゅ Scrotum swelling)、乳房肥大(ちぶさひだい Breast hypertrophy)は、いずれも象皮病と同様にフィラリアの成虫によるリンパ管の閉塞が原因である。陰嚢水腫の場合は陰嚢周辺のリンパ管にフィラリア虫が定着することでリンパ液が溜まった陰嚢が大きくなる。乳房肥大もフィラリア虫による胸部リンパ管の閉塞で乳房が大きくなる。 陰嚢水腫は驚くほど大きくなるケースがあり、日本国内ではよく知られた例として江戸後期の著名な浮世絵師葛飾北斎による陰嚢水腫の絵がある。北斎は1812年(文化9年)、東海道の三島宿(現・静岡県三島市)でもっこに包まれた荷物を天秤棒のようなもので担いでいる2人の男を見掛けるが、よく見ると荷物だと思ったものが片方の男の巨大な陰嚢であることに驚き、その場で矢立を取り出して描いたという。その絵は北斎漫画十二編の中で「大嚢」の題で描かれている。これは19世紀初頭の日本に陰嚢水腫、つまりリンパ系フィラリア症が存在した記録として日本国外でも知られている。 また、西郷隆盛が陰嚢水腫であったこともよく知られており、1872年(明治5年)に明治天皇が鶴丸城(現・鹿児島城)へ行幸した際、陰嚢水腫であった西郷は馬に乗ることができず徒歩(かち)で行列に従ったという話や、西南戦争で自決した西郷の首のない遺体を、西郷本人であると特定させたのが陰嚢水腫であったという。
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