長銀問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/07 08:19 UTC 版)
「リップルウッド・ホールディングス」の記事における「長銀問題」の解説
1998年に経営破綻し、8兆円に及ぶ公的資金が投入された旧日本長期信用銀行(長銀)をわずか10億円で買収、リップルウッドはその後、自己資金1200億円を投入。長銀から衣替えした新生銀行が2004年2月19日に上場したことで2200億円以上の利益を得た。さらに投資組合は本拠地が海外にあるため、日本政府はその売却益に課税できないことが報道され、多くの批判を浴びた。しかし、仮に日本政府が課税措置をとった場合、投資組合の本拠地国でも当然課税措置が生じるため、当該企業にとっては二重課税の問題が生じる。海外に本拠地を置く企業に課税できないのは本件に限ったことではなく、国際取引課税では二重課税が生じないような取決めがなされている。巨額の投資純益に関しても、当時旧長銀買収で競合した中央三井信託銀行グループが、投資組合を上回る条件・金額を提示できなかった事を考慮すれば、投資組合側が相当なリスクを踏まえた結果である。 上記の通りバイアウト・ファンドは企業の建て直しを援助するという性格を持ち、加えて買い手もバイアウト・ファンドが提示する価格を理解した上で自主的に再建された企業の株を買っているのであって、この一連の流れには不正があるわけではない。 リップルウッドはマスコミや一部評論家から「ハゲタカファンド」と呼ばれることもある。ただ、長銀問題に限れば、買収先には日本人社長を据え、雇用も実態はともあれ形式的には守られていた。コリンズによれば、リップルウッドでは従業員を最大の資産と考え、労働組合の存在も否定的に考えず、安易な解雇は行わないとしている。また、この方針は工場労働者として苦労したコリンズの原体験に基づくものだという。 瑕疵担保条項の存在や、八城政基・新生銀行社長(当時)の国会参考人招致に対し同社がこれを拒否したことは国民から反感を買った。しかし、旧長銀売却に際し投資組合側が資産査定を要求したところ、日本政府が時間的問題などを理由に拒否しており、瑕疵担保条項はその代償として設けられたという経緯がある。また、瑕疵担保条項の行使は、企業価値の最大化の目的に対してはむしろ妥当であり、またこのことが、旧長銀の債権が相当劣化していたことの証左でもあるという見方もある。
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