鉾島の伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/03 00:00 UTC 版)
今は昔、この小さな漁村にある若い漁師が住んでいた。村一番の働き者だった若者は、病に伏せっている老母一人をの食い扶持に、朝早くから海に舟を出し、病身の滋養にと鯛を獲っては雑炊をこしらえ木のへらで母の口に運んでやる親孝行者であった。 ある夏も終わりの夕暮れのこと。村の海岸がすぐ見える沖で差してあった網を上げていた、すると碧色の海の底から何やら眩しく光る物が網とともに揺れて上がってくるではないか、「魚じゃねえなあ。何やろか。」首をかしげながら上げてみると、何とそれは不動明王の像だった。 家に持ち帰った太平は、明日にでも網元の親爺さんに相談に行こうと、その晩はその不動明王像を枕元に置いて床に就いた ところがその夜、不動明王が太平の夢枕に立った。 「親孝行な息子よ。お前は私を鉾島の頂きに祀るのじゃ。大事にいたせよ。」と地割れのするような声で叫ぶと明王は消えた。 夢枕で起きたが、まだ薄暗い朝ぼらけ、路を駆け、近所の村の大工をたたき起していきさつを話し、二人して小さな祠を作った。そしてその不動明王を祭った。 すると、村の漁師たちが漁に出ている間は嵐や荒波がぴたりと止んだ。そればかりか魚もたいそう獲れるようになったという。 以来数百年の時を超えて今日でも鉾島の明王様は村人たちの篤い信仰を集めているということである。(看板資料より)
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