金属水素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 04:59 UTC 版)
詳細は「金属水素」を参照 水素は、ガス惑星の内部など非常に高い圧力下では性質が変わり、液状の金属になると考えられているが、1996年にローレンス・リバモア国立研究所のグループが、140 GPa(1 GPa = 約1万気圧)、数千°Cという状態で、100万分の1秒以下という短寿命ではあるが、液体の金属水素を観測したと報告している。木星型惑星(木星・土星)の深部は非常に高い圧力になっており、液体金属水素が観測された条件と似ている。木星型惑星を構成するもっとも主要な元素のひとつである水素は、この状況下では金属化している可能性があり、惑星の磁場との関わりも指摘されている。しかしながら、2017年現在、数百GPaのオーダーで圧力を加える実験が行われているものの、固体の金属水素が得られたという十分な証拠が示されたことはない。 金属化そのものが達成されていないためにその真偽はいまだ不明であるが、Ashcroft (1968, p. 1748) は、金属化した水素は室温超伝導を達成するのではないかと予想している。この可能性の傍証として、周期表で水素のすぐ下のリチウムは、30 GPa以上という超高圧下で超伝導状態となることが示されている。リチウムの超伝導への転移温度は圧力48 GPaで20 K程度であるが、この数字は単体元素のものとしては高い部類に入り、いくつかの例外を除けば一般に軽い元素ほど転移温度は高くなるため、もっとも軽い元素である水素は、より高い転移温度を持つ可能性が十分ある。 また、励起状態の水素が金属化するときわめて強力な爆薬になるとの理論計算が行われ、電子励起爆薬として研究されている。この理論では圧力だけでは不十分であり、水素を励起状態にして圧力をかければ金属化するとしている。
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