交代多重線型形式
多重線型代数における交代多重線型形式(こうたいたじゅうせんけいけいしき、英: alternating multilinear form)、多重線型交代形式 (multilinear alternating form) または反対称多重線型形式 (antisymmertic multilinear form) は、どの二つの変数でも一致するとき値が零となるような多重線型形式を言う。まぎれの虞が無いならば短く、交代形式や反対称形式などともいう。
線型代数学における行列の行列式や、微分幾何学における微分形式は多重線型交代形式の重要な例である。
定義
体 K 上のベクトル空間 V 上で定義された多重線型形式 f が交代的 (alternating) あるいは反対称 (antisymmetry) とは、追加の性質(反対称性)[1]:
重線型交代形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 01:56 UTC 版)
上記の特別の場合として X = K を基礎体とするとき、交代重線型写像 f: Vk → K は重線型交代形式と呼ばれる。重線型交代形式の全体の成す集合は、それらの和もスカラー倍も再び交代性を持つから、ベクトル空間を成す。外冪の普遍性により、V 上の次数 k の交代形式の空間は双対空間 (⋀kV)∗ と自然同型である。V が有限次元なら後者は ⋀k(V∗) に自然同型である。特に Vk から K への反対称写像全体の成す空間の次元は n から k を選ぶ二項係数に等しい。 この同一視の元、楔積は具体的な形で 2 つの反対称写像から別の反対称写像を導く。ω: Vk → K と η: Vm → K を 2 つの反対称写像とする。重線型写像のテンソル積の場合と同様に楔積における変数の個数はそれぞれの写像の変数の個数の和になる。楔積は次のように ω ∧ η = ( k + m ) ! k ! m ! Alt ( ω ⊗ η ) {\displaystyle \omega \wedge \eta ={\frac {(k+m)!}{k!\,m!}}\operatorname {Alt} (\omega \otimes \eta )} と定義される。ここで重線型写像の交代化作用 "Alt" は変数の置換全体を亘る符号付平均 Alt ( ω ) ( x 1 , … , x k ) = 1 k ! ∑ σ ∈ S k sgn ( σ ) ω ( x σ ( 1 ) , … , x σ ( k ) ) {\displaystyle \operatorname {Alt} (\omega )(x_{1},\ldots ,x_{k})={\frac {1}{k!}}\sum _{\sigma \in S_{k}}\operatorname {sgn}(\sigma )\,\omega (x_{\sigma (1)},\ldots ,x_{\sigma (k)})} で定義される。この楔積の定義は、K が有限標数をもてば矛盾無く定まる。上記と同値で階乗を使わないものとして ( ω ∧ η ) ( x 1 , … , x k + m ) = ∑ σ ∈ Sh k , m sgn ( σ ) ω ( x σ ( 1 ) , … , x σ ( k ) ) η ( x σ ( k + 1 ) , … , x σ ( k + m ) ) {\displaystyle {\begin{aligned}&(\omega \wedge \eta )(x_{1},\ldots ,x_{k+m})\\&\quad =\sum _{\sigma \in \operatorname {Sh} _{k,m}}\operatorname {sgn}(\sigma )\,\omega (x_{\sigma (1)},\ldots ,x_{\sigma (k)})\eta (x_{\sigma (k+1)},\ldots ,x_{\sigma (k+m)})\end{aligned}}} を考えることもできる。ここで Shk,m ⊂ Sk+m は (k, m)-シャッフル(英語版)全体の成す部分集合である。(k, m)-シャッフルは {1, 2, …, k + m} の置換 σ であって、σ(1) < σ(2) < … < σ(k) かつ σ(k + 1) < σ(k + 2) < … < σ(k + m) なるものを言う。
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