逆さイチョウ・毒消しイチョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 09:40 UTC 版)
「上沢寺のオハツキイチョウ」の記事における「逆さイチョウ・毒消しイチョウ」の解説
オハツキイチョウとは葉の表面や小枝の先端部に実(ギンナン)が結実するイチョウの変種で、日本国内では20本ほど確認されているが、この上沢寺のオハツキイチョウは植物学者の白井光太郎によって、イチョウに葉上種子が発生する事実が明治24年(1891年)7月に初めて学会に報告された個体であり、昭和4年(1929年)4月2日に国の天然記念物に指定された。 イチョウは雌雄異株であるが上沢寺のオハツキイチョウはギンナンの生る雌株である。普通のイチョウは雌花が長枝の先端部に2個つくが、オハツキイチョウは葉の縁辺につく。イチョウを公孫樹と書くのは、公孫(孫)の代にまでならないと結実しないということからきており、若木の頃は雄雌の見分けが難しいという。なお、上沢寺のオハツキイチョウの実は、すべてが「お葉付き」になるのではなく、7割が正常な実で3割が「お葉付き」であり、このオハツキイチョウの実は犬の牙に似た形をしている。 上沢寺のオハツキイチョウの幹上部は著しく北方に屈曲していたが、1931年(昭和6年)に発行された『山梨県名木誌』によれば、これは富士川西岸に位置する上沢寺付近を駿河湾から富士川の谷間を抜けて吹き上がる南風の影響によるものだという。また枝の多くが下方向に垂れ下がっている様子から別名を逆さイチョウと呼ばれ、上沢寺に面した国道52号に設置された道路標識にも「さかさ銀杏」と単独で表記されている(右画像参照)。 逆さイチョウの葉や若い実には消毒効果があると言われ、もうひとつの別名として毒消しイチョウとも呼ばれている。古くから上沢寺は薬房としての役割を担っており、今日も「延山膏(えんざんこう)」と呼ばれる傷薬をはじめ、逆さイチョウと漢方薬を調合した複数種の薬を許可を得て第三類医薬品として製造販売している。
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