近代魔術における召喚と喚起
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/01 14:12 UTC 版)
「召喚魔術」の記事における「近代魔術における召喚と喚起」の解説
召喚 (invocation) と喚起 (evocation) は英語圏でも往々にして混同されるが、黄金の夜明け団の系譜を引く魔術体系ではある程度明確に区別される技法となっている。invoke の語源は「呼びかける」を意味するラテン語の invoco であり、「祈る」という意味も含む。evoke の語源は、「呼び出す」を意味するラテン語の evoco である。これに応じて、召喚と喚起には以下のような方向性の違いがある。 召喚では霊的存在に呼びかけ、その来臨を請う。喚起では霊的存在に命令して呼びつける。 召喚では霊的存在は魔術師の内側に呼び入れられ、喚起では霊的存在は魔術師の外側に呼び出される。 召喚では通常、神々や天使など、ヒエラルキーにおいて上位の存在が対象となり、喚起では四大元素の精霊や悪魔など、ヒエラルキーにおいて人間と同格かそれより下位の存在が対象となるのが普通である。 アレイスター・クロウリーは次のように定義している。 「喚起」が前方または外へ「呼び出す」ことであるのに対し、「召喚」は「呼び入れる」ことである。これが魔術のふたつの部門の本質的な差である。召喚においては大宇宙が意識に満ちあふれる。喚起においては、大宇宙となった魔術師が小宇宙を創造する。諸君は神を円環の中へ「召喚」し、霊を三角形の中へ「喚起」するのである。 なお、この召喚と喚起という言葉は、国書刊行会の翻訳魔術書を編集した朝松健と翻訳者らの会議で訳語として定められたものという。召喚 (invocation) と降霊 (evocation) という訳例もある。
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