近オセアニアへの拡散
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 13:35 UTC 版)
「現生人類の拡散」の記事における「近オセアニアへの拡散」の解説
アジア南沿岸経由で拡散した現生人類はさらに東南アジアや近オセアニアを経由して6万5千年から5万年前にオーストラリア大陸へと到達した ホモ・エレクトスのデニソワ人はロンボク海峡を渡ってフローレス島より西側には到達していたが、オーストラリア大陸には到達していなかった。そのため、ホモ・サピエンスは人類として初めてオーストラリアの地を踏んだこととなる。デニソワ人の遺伝子の痕跡はメラネシア人やアボリジニ、ママンワ族(英語版)等のネグリトの遺伝子で見られ、東南アジアに居たデニソワ人と混血していたことが示唆されている。 この頃の海水面は現在よりはるかに低く、海域東南アジアのうち西方の領域はスンダランドという1つの陸地をなしていた。さらに、サフル大陸とスンダランド(現在のオーストラリア大陸、ニューギニア島、タスマニア島などがなしていた大陸)との間にはワラセアという陸地があり、近オセアニアの先住民らはこの群島伝いにサフルランドへと渡っていった。この時でもウェーバー線付近の海峡は最大90 kmの幅で存在していたため、近オセアニアの先住民は船や操船技術を持っていたと考えられている。 西オーストラリア州で見つかったオーストラリア先住民の髪の毛のゲノムを解析した結果、6万2千年から7万5千年前に東アジアに移住した集団の子孫のものであることが明らかになった。その結果、オーストラリアやニューギニア島にオーストラリア先住民が到達したのは現在のアジア人やネイティブアメリカンの祖先がアジアにやってくる以前の2万5千年前から3万8千年前であったことを裏付けた。現生人類の近オセアニアへの移動は約5万年前であったと考えられている。それを裏付けるようにオーストラリアでは5万年から6万年前の最古の住居の痕跡と、4万年ほど前のオーストラリア最古の人骨と、約6万5千年前の最古の人工物がそれぞれ見つかっている。また、ティム・フラネリー(英語版)は人類によってオーストラリアの大型動物相が絶滅したのは4万6千年から1万5千年前であると主張している。
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