辻本満丸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 04:57 UTC 版)
辻本 満丸(つじもと みつまる、1877年(明治10年)12月4日 - 1940年(昭和15年)4月24日)は、日本の応用化学者[1][2]。スクアレンを発見した事で知られている[1][2]。
経歴・人物
翻訳者の辻本一貫の子として東京に生まれる[1][2]。第一高等学校卒業後[2]、東京帝国大学(現在の東京大学)に入学し応用化学を学んだ[2]。卒業後の1901年に農商務省附属の東京工業試験所に入り[1]、主に生物に含まれる油脂成分専門の研究助手となる[2][3]。1915年(大正4年)工学博士[4]。後に技師に就任し1915年(大正4年)から1930年(昭和5年)の退官まで[3]、同試験所の第二部長となり[3]、多くの生物における油脂化学研究や調査を行った[1][2]。
スクアレンの発見と命名
特にフジクジラ、カラスザメ、カスミザメ等サメを中心に油脂成分の研究に没頭し[1]、クロコザメの肝油から初めて不飽和度の高い炭化水素スクアレンC30H50 を発見、命名したが[5][6][7]、これは動物界における炭化水素の最初の発見である[1][2]。また、魚類に多く含まれ現在DHAとして知られるイワシ酸を発見し油脂の臭気と脂肪酸成分の関係について研究[8]、魚油の水素添加より硬化油をつくり日本の油脂工業に貢献した[9]。
日本山岳会の創設者
応用科学以外にも、試験所に勤務中に全国各地を登山した事や、日本山岳会の設立者の一人であること[2]、赤石山脈に所在する鳳凰山に発見した新しい植物を調査し[2]、その中からキキョウ科の植物「ホウオウシャジン」を命名した事でも知られる[2]。高山植物の種子の油も研究している[2]。
受賞歴
著書
脚注
- ^ a b c d e f g デジタル版 日本人名大辞典+Plus(講談社)『辻本満丸』- コトバンク
- ^ a b c d e f g h i j k l 日本大百科全書(小学館)『辻本満丸』- コトバンク
- ^ a b c d e 世界大百科事典 第2版(平凡社)『辻本満丸』- コトバンク
- ^ 20世紀日本人名事典(日外アソシエーツ)『辻本 満丸』- コトバンク
- ^ 辻本『海産動物油』1918年、76頁 。
- ^ 辻本『海産動物油』1918年、79頁 。
- ^ 辻本『海産動物油』1918年、308頁 。
- ^ 辻本「魚油の脱臭に関する研究及び特許」『海産動物油』、595-634頁 。
- ^ 百科事典マイペディア(平凡社)『辻本満丸』- コトバンク
- ^ a b “肝油や化粧品でおなじみの「スクアレン」「スクアラン」を発見”. 産総研マガジン:産業技術総合研究所. 2025年8月27日閲覧。
参考文献
- 辻本満丸『海産動物油』丸善、1918年 。
- “辻本満丸博士の先駆的偉業”. 化学遺産の第8回認定 認定化学遺産 第039号. 日本化学会. 2025年8月27日閲覧。
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