軌道制御実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/04 00:48 UTC 版)
打上げ後、1990年3月19日に月を利用した最初のスイングバイを行い、孫衛星はごろもを分離して月の周回軌道に投入した。装置の故障で軌道投入の確認ができなかったが、周回軌道にのる時のロケットの光を国立天文台木曽観測所がとらえたことで、成功したと推定されている。その後1991年10月にかけて、加減速を伴うスイングバイを合計10回行っている。5回目のスイングバイでは後のGEOTAILと同様の高度135万 km に一時停留する軌道に試験的に投入された。1991年3月には世界初の試みとして、地球大気を使って減速し軌道を変更するエアロブレーキの実験を2回行った。さらに追加ミッションとして、非常に少ない燃料で月周回軌道に到達できる航路を実証するため、9回目のスイングバイでいったん地球から153万 km まで離れ、地球引力圏の境界付近に到達した。そこで太陽からの引力を利用して近地点高度を上昇させ、10回目のスイングバイで月の公転軌道に近い軌道に乗った。この後ひてんは1992年2月15日に11回目の月接近で月の周回軌道にはいったあと、1993年4月10日に月のステヴィヌス・クレーターとフレネリウス・クレーターの間に衝突させ、計画は終了した。ひてんの運用によって得られた技術は、この後打上げられた磁気圏観測衛星GEOTAIL(ジオテイル)、火星探査機のぞみ、工学実験探査機はやぶさ等の運用に活かされている。
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