跡地の荒廃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 23:25 UTC 版)
「松尾鉱山跡地の森林化」の記事における「跡地の荒廃」の解説
閉山後の鉱山跡地には、硫黄の鉱滓が大量に推積されており、車で走ると粉塵に引火し、排気管から青い火が尾をひくと恐れられ、鉱滓に触れた雨水が強い酸性を帯び、下流の北上川沿いに甚大な被害をもたらす恐れがあった。 このため岩手県は、「鉱害発生源対策」として、鉱区のほぼ全域を均し、粘土を厚く敷きつめた後に重機で堅く踏み固め、排水路をめぐらすなど雨水が地下にしみ込まない措置を講じ、さらにその表層に牧草を播種する「緑化工」を行ってきた。 しかし、踏み固めた緻密な土層には、植物の成長に欠かせない水分や空気、栄養素も含まれておらず、表層に基盤材と混ぜて吹き付けた牧草の種は根が育たず、年々植生が衰退していった。植生が衰えむき出しになった斜面では、雨風による土壌の崩壊も始まり、根を張った木が葉を落としていかないと草の維持も難しいことを示した。 このような状況に心を痛め、植樹の試験に取り組む事例もあったが、予測を超える厳冬期の烈風や土壌の凍結、酷暑や乾燥などの厳しい環境条件に阻まれ、期待した成果を挙げることができなかった。 早期に植樹試験に取り組んだ事例年試験植樹団体場所試験した主な樹種1962 小岩井農牧kk 露天掘跡南北斜面 アキグミ・ダケカンバ 1987 電源振興センター 露天堀跡底部 ナナカマド・ブナ・アキグミ 1995 東北地域環境研 露天掘跡東向き斜面 ナナカマド・ダケカンバ
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