距離円、ノルム円
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 12:50 UTC 版)
「定点からの距離が一定である点全体の成す集合」として円を定義するならば、定義に用いる「距離」の定義を変えれば異なる形状の「円」を考えることができるということになる。p-ノルム(英語版)の誘導する距離は ‖ x ‖ p := ( | x 1 | p + | x 2 | p + ⋯ + | x n | p ) 1 / p {\displaystyle \|x\|_{p}:=(|x_{1}|^{p}+|x_{2}|^{p}+\dotsb +|x_{n}|^{p})^{1/p}} で与えられる。ユークリッド幾何学における通常のユークリッド距離: ‖ x ‖ 2 = | x 1 | 2 + | x 2 | 2 + ⋯ + | x n | 2 {\displaystyle \|x\|_{2}={\sqrt {|x_{1}|^{2}+|x_{2}|^{2}+\dotsb +|x_{n}|^{2}}}} は p = 2 の場合である。 タクシー幾何学で用いるマンハッタン距離(L1-距離)は p = 1 の場合であり、この距離に関する円(タクシー円)は各辺が座標軸から45°ずれた正方形となる。半径 r のタクシー円の各辺の長さは、ユークリッド距離で測れば √2r だが、タクシー距離で測れば 2r である。よって、この幾何学で円周率(半径に対する周長の比)に相当するものは 4 ということになる。タクシー幾何学における単位円(半径が 1 の円)の方程式は、直交座標系では | x | + | y | = 1 {\textstyle |x|+|y|=1} , 極座標系では r = 1 | sin θ | + | cos θ | {\textstyle r={\frac {1}{|\sin \theta |+|\cos \theta |}}} と書ける。これは、その中心のフォンノイマン近傍(英語版)である。 平面上のチェビシェフ距離(L∞-距離)に対する半径 r の円もまた各辺の長さが 2r の正方形(ただし、各辺は座標軸に平行)であるから、平面チェビシェフ距離は平面マンハッタン距離を回転およびスケール変換したものと看做せる。しかし L1 と L∞ の間に成り立つこの同値性は他の次元に一般化することはできない。
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